ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第16章 第十六話
そして月日は流れ…
「ママ、私いいこと考えたの」
黒髪に緑の眼、勝気な笑顔を浮かべた少女が、私に言う。
「私、かき氷屋さんやるー!」
「ごっこじゃなくて…?」
私が少女に聞くと、少女は頬を膨らませて、
「本物のお店だよー!」
と言って、また満面の笑顔を見せた。
お察しかと思いますが、これがわたくしシアンの子どもの、シオです。
7歳なのですが、誰に似たのかお転婆でおしゃべり、無鉄砲(あ、これは私に似てる)。
「この前、ママが作ってくれたジャム乗せかき氷おいしかったもん、絶対売れると思うの!!」
「あー…たしかにね。氷はこの国で貴重だもんね。売れそう…」
熱帯の国なので、この国では水も貴重だし、氷なんて見たことない人もいる。
「私の魔法で、氷出せば、無限だもん」
「それ、食べた人の体に悪くないのかなぁ」
「さぁ?」
この調子である。
普通、魔法を使うには知識が必要なのだ。
詠唱しないと使えないので、本を持っている貴族の特権なのだが、シオは5歳くらいの時から、なぜか自然と使えるようになった。
凄いことだけど、私は非常に怖い…ラドクリフ様みたいな人にみつかることが。
「いつも言ってるけど。普通の人は魔法が使えないのよ。…街の真ん中で魔法使ったら目立っちゃうでしょ?」
「そんなのうちで氷の塊出してから行けばいいじゃーん!ママは心配しすぎなのー。それに、魔法を使うのなんでだめなのー?私だって自慢したいもん」
「誘拐されちゃうのが怖いの」
「されないもーん!!」
そしてまたこの調子である。
最近は、口げんかに負けること多数。
我慢させるのも酷だけど…
こうして私は仕方なく、食べても問題ないことを確認後、かき氷屋さんを一階のバーを借りて、昼間にやらせてもらうことにした。
「シオちゃんには、いつもお店で使う氷作ってもらって、助かってるわぁ、もちろんいいのよー!」
と、いつも元気なレイニーさん。
「いつも無理言ってすみません」
いつもシオのわがままを聞いてくれるのはレイニーさんだった。
ほんとうにありがたい。
試しに3日間だけ、かき氷屋さんを開くことに。
「値段は、金持ちからはたくさん取るよ☆」
「お客さんごとに料金変えるのはやめなさい」
「えー。じゃあ、銅貨5枚くらいにしておくー」
そう言って、看板に値段を書いた。
