ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第14章 第十四話
誰にも祝福されない結婚だと思った。
誰にも望まれない結婚。
私は真っ白なドレスを着て、教会を歩いていた。
広い広い教会には、ラドクリフ様もおらず、神父様を除いたら二人だけ。
通路の先に、真っ白なタキシードを着たユラくんが立っている。
ユラくんの元まで歩き、向かい合う。
誓いのセリフ、指輪の交換などがあって、私の世界と一緒だった。
「では、誓いのキスを」
(キス…)
練習はしてきたものの、実際にキスはして来なかったので、直前になって私はちょっと困ってしまった。
「…シアンさん。…眼を閉じて」
ユラくんの優しい声がすぐ頭上で聞こえて、私はただ眼を閉じた。
顎を軽く押し上げられ、ふわりとあの優しいにおいがしたと思ったら、唇に柔らかな感触が触れる。
眼を開けるタイミングがわからず、しばらく閉じていると、
「もういいですよ」
とユラくんに少し笑われた。
(ファーストキス…)
浸る暇もなく、式が続いた。
こうして、滞りなく式が終わり、私とユラくんは、私の使っている部屋に通された。
「大変でしたね…」
誰もいないお式だったけど、私はドッと疲れてしまった。
「そうでしたね。…シアンさんは座っていてください。私がお茶を入れます」
ユラくんはそう言って、部屋の外にあったティーポットを持ってきた。
「あ、ありがとう…」
私も立ち上がって手伝おうとしたけど、「座っていてください」と言われ、私はお言葉に甘えた。
「あ、ハーブティーだ」
疲れた体に染みる~
私はありがたく飲んでいると、ユラくんが飲んでいなかったので、お茶を進めた。
「私だけ飲んでるのも嫌ですよ」
「そうですか…では」
二人で席についてゆっくりハーブティーを飲んだ。
なんだか、ラドクリフ家に来て目まぐるしい毎日だったけど、やっと一息付けたような気持になった。
「シアンさんは以前、『結婚するなら、少しでもその人のことを好きになりたい』と言っていましたが…
私は、どのようにしたら貴女に少しでも好きなってもらえるのか、わかりません」
お茶を飲んで、一息ついていたら、急にユラくんがそう言った。
「…そんなこと、言いましたね。
でも、私はもうユラくんのこと結構好きですよ。前の家族のために頑張ってるじゃないですか」