ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第14章 第十四話
大奥様が帰った後も、変わらず魔法の話だけしかしないラドクリフ様に業を煮やし、私は自分から貴族らしくなるための知識を学びたいと申し出た。
こうして、一日のほとんどを勉強に費やした。
教えてくれる先生たちも、大変身分の高い人たちで、嫌味を言われたり、いじわるされることもあった。
そんな日は、豆腐メンタルの私は夜は泣いて過ごしていた。
ある日、ダンスの練習をしてくれると、ユラくんが言ってくれて、久しぶりに再会した。
「なんか…やつれましたね」
「えー?そう?普通だよ…」
久しぶりに友達に会えたような気持になって、私はちょっと強がってしまった。
「声に力がありませんよ」
そう言いながらも、ダンスの姿勢で、私の手を取った。
事前に少し踊り方を見ておいたけど、実際やってみると難しくて、何度も転びそうになった。
そのたびに、何も言わずユラくんは支えてくれた。
「もうすぐ、私たちの婚礼があるそうです」
踊りながら、小声でユラくんが私に耳打ちしてきた。
(そんな話全然知らない…)
私は動揺して、再び転びそうになる。
ユラくんは私の腰に手をまわして支えてくれた。
「ごめ…」
「謝らなくていいです。…私こそ、すみません」
そう言って、ユラくんは腰に回した手に力を込めて、私をぎゅっと抱きしめた。
ふわりと優しいにおいがして、なんだか泣きそうになった。
(なんでこんなことになったんだっけ…)
天井がぼやけても見える。
…このまま、私、みじめに生きていくしかないの?