ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第13章 第十三話
「あ、シアンちゃん。君の養女入りはもう終わったから。これで私と君は親子になったんだよ」
「え!!もうですか!」
私は驚いて、椅子から落ちそうになった。
「これから、どうぞよろしくね」
そう言ってにこりとした。
うーん、そんなに悪い人に見えないけどなぁ…。
「それで、シアンちゃんとユラの結婚式の日程だけど…」
「けっこんしき!!」
何もかも急な話だ。
「ま、待ってください、私、貴族らしいふるまいとかできなくて…」
「まあ、それは追い追いでいいよ。私はそういうの気にしないから」
私が気になりますーー!!と言いたかった。
「とにかく、私は早く孫が欲しいからね。魔法使いの孫が」
魔法使いの孫。
そうか、たしかユラくんも魔法が使えたから…
「どんな魔法を使う孫ができるか、たのしみだねー!」
と、ラドクリフ様は相変わらず終始ご機嫌だった。
私の気持ちを置いてったまま…
こうして、魔法の話しかしない日が何日も続いたある日。
屋敷がにわかにざわめいた。
(お客さんかな…?)
私は部屋から半身覗いてみるが、メイドさんたちがドタバタと何事か話しながら走って準備している。
「どうか、したんですか?」
「あ、ああ。お嬢様。実は今日、大奥様がいらっしゃって…」
大奥様?奥様じゃなくて、大奥様ってことは、ラドクリフ様のお母さまということでしょうか。
聞き返せずにいると、
「ラドクリフ様のお母さまですよ。ラドクリフ様自身は独身主義ですので」
と、後ろから来ていたユラくんが言った。
「この時代に、独身主義の大貴族がいるんですね…」
少し、結構驚いた。
「主様は少し変わり者ですので」
「たしかにー」
そんな話をしていると、言い争う声が一階から聞こえてきた。
「ちなみに、大奥様は、私たちをラドクリフ家に迎えることを大反対しています」
「そりゃ…そうだよね…」
嫌な予感がして、冷や汗が出てきた。
言い争う声がだんだん近づいて来て、そして、目の前に現れた。
真っ赤なドレスを身にまとい、大きなセンスを持った、60代から70代くらいの女性でしょうか。
とにかく身のこなしからも気品あふれる方だった。