ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第11章 第十一話
「どういうことですか!!ユラさん!!私買い物どころじゃないんですけど!!!」
レイニーちゃんたちと別れた後、私は路地裏でユラさんに詰め寄った。
「やはり、ラドクリフ様は何もおっしゃってなかったのですね。
…貴女は近いうちにラドクリフ様の養女になります」
「ようじょ。」
ようじょ?
「貴女は上級貴族になるということです。そして、その後私と婚姻を結ばせる、とラドクリフ様がおっしゃっております」
なん…じゃそりゃああああ!!!
「そんな勝手に…」
「全ては魔法の力のためです。あの方はそのためにしか動きません。そして、いつも勝手ですよ、我々貴族は」
ぐぬぬ…そうはっきりと言われると…。
そう言ったユラさんも複雑な表情をしていたが。
「そして、シアンさんがラドクリフ様の養女になったあかつきには、必ず私と婚姻を結んでいただきます」
と、はっきりと強い意志を持った目で言った。
「そ、そうは言っても、ユラさんは私のことなんてこれっぽっちも好きじゃないじゃないですか」
「婚姻とはそういうものです。家と家との結びつき。それが何より重要です」
「でも!私はラドクリフ様の養女になんてなりません!」
「これは決定事項です。貴女個人に断る力はありません」
い、いつの時代の話?何言ってんだこの人たち。
「ユラさんは、それでいいんですか?」
「是が非でも。私は貴女と婚姻を結びたい。私は出世がしたいのです」
「……」
はっきり言いやがった。
「私は、貴女の心まで欲しいとは言いません。セカ様をお好きなら、それでもいいでしょう」
「セカは、友達です。
…私は!結婚するなら、少しでもその人のことを好きになりたいです。そんな冷たい結婚、嫌です」
もう、買い物どころじゃなくなってしまった。
私たちは早々に部屋に戻り、解散した。
その間、二人は一言も発さなかった。
そして次の日。
あいかわらず二人に会話はなかった。
憮然とした顔のまま、パンをもしゃもしゃ食べていると、ユラさんは立ち上がって言った。
「セカ様には。今はまだ身分違いもありますのに、呼び捨てでお呼びになられてるんですね」
「セカは…せ、せかー!って感じだったので、それがしっくりきた、と言うか」
唐突な言葉に驚き、変な言い回ししかできなかった。