第18章 会長の秘密(ホークス)
スイッチを入れたはずなのに、電気は点かない。
「なんだコレ……」
はっ!
も、もしかしてこれ……
「壊れてる……?」
私が呟くと、ダイナマイトはばつが悪そうにそっぽを向いた。
そう。
恐らくだけどダイナマイトは、この壊れた電気スタンドを捨てんのがめんどくさくてショートくんに押し付けに来たんだろう。
なんか、そう考えるとダイナマイトという男は相当太い野郎だ。
「ダイナマ……それはないよ……いくらショートくんがぽやぽやしたいい子だからって……」
「っせぇな!つーかマジで誰だよてめぇは!」
「え、だから……」
「繭莉、もういいって」
ショートくんがそう言って私の肩に手を置いた。
それに、ダイナマイトがぴくりと反応する。
「てめぇ繭莉っつうんか!覚えたかんな!」
ダイナマイトはそう言いながら私をビシイっと指差した。
……はぁ……
こいつ、ヤンキーみたいだな……
なんか、目ぇつけられたっぽいし……
そんな事を思いながらぼんやりとダイナマイトを見ていると、チッと舌打ちをされる。
「……マジで覚えとけよ」
不穏な事を言い残して、ダイナマイトは帰っていった。
なんか、嵐のような男だな……
返しそびれた壊れた電気スタンドに目を落としてそんな事を思ってしまった。
この、ちょっとした出会いがあんな事に繋がってしまうとは、今の私は思ってもいなかった。
ある日の、水曜日。
「……はぁっ、終わったぁ……」
雄英高校のゴミ捨て場に落ち葉の入ったごみ袋を置きながら、私は軽く溜息を吐いた。
私は、雄英高校で週に2回掃除のアルバイトをしている。
これが、お給料が良くて自分の美容代とか趣味のお金とかに苦労しない。
「やぁ、甘井さん。いつもありがとう」
いつの間にか私の後ろにいたのは、根津校長。
雄英の人は、私が結婚している事を知らないからしれっと旧姓で仕事させてもらっている。
「いえいえ、根津校長!こちらこそありがとうございます」
「甘井さんがいてくれるから、いつも校内はピカピカなのさ」
「そう言ってもらえて嬉しいです」
根津校長と喋りながら歩いていると、職員室の前で何やら生徒の子達がたむろして何かを喋っているのが見えた。
肩のボタンで分かる。ヒーロー科の子達だ。