第18章 会長の秘密(ホークス)
そう言ったけど、冬美さんと冷さんは何故か納得いかないみたいだ。
顔を見合わせては首を捻っている。
「あ、いや!そんな事より……」
どうにか話題を変えようとした時、ガラガラと玄関を開ける音が聞こえた。
「あら?お父さん、帰ってくるの早くない?」
「ちょっと私、見てくるわね」
冷さんがぱたぱたと玄関に向かって行く。
なんとか話題がそれそうになって私はホッと胸を撫でおろした。
「焦凍どうしたの、こんな時間に帰ってくるなんて」
「いや、ちょっと忘れもん取りに来た」
遠くからそんな会話が聞こえて、帰って来たのはエンデヴァーさんではなくショートくんだという事が分かった。
「あ、繭莉」
ひょいっと姿を見せたショートくんにひらひらと手を振って挨拶をする。
「ショートくん、お邪魔してます!久しぶり~」
だけど、ショートくんは何故かちょっと浮かない顔をしていた。
「どうしたの、ショートくん」
「……あのさ」
「ん?」
私が首を傾げると、ショートくんはごにょごにょと少し口籠った。
「繭莉には、話さねぇとって……思ってた」
「え?何を?」
「……ホークス、なんだけど……」
え?
啓悟?
「会長がどうかしたの?」
そう訊くと、ショートくんは言いずらそうに口を開いた。
「会長っていい加減止めてやれよ……あ、いや……駅からちょっと離れた繁華街にデカめのキャバクラあんの、知ってるか?」
「あー……うん……」
きっと、あそこだよね。
全国展開の、確かにちょっとデカめのキャバクラ……
「先週の金曜日、そこにホークスが入っていくの、見たんだ。俺、事件で動いてたから話しかけらんなかったけど……」
「……あ……そぉ……」
「あっそうって、いいのかよ?繭莉」
私の反応にショートくんはちょっと納得いかないみたいだけど、私は本当にあっそぉとしか思わなかった。
「旦那がキャバクラ行ってんだぞ?ちょっとした浮気じゃねぇか」
「あ、いやね、ショートくんあのさ……」
これは、あくまで自論なんだけど。
私との会話に不満を感じるなら、キャバクラでも行ってカワイイ女の子と面白い話でもしたらいい。
私との夜の生活に不満を感じるなら、風俗でも行って気持ちいい思いでもさせてもらったらいい。
私で満足できないなら、その道のプロにお任せするしかない。