第17章 サイドキックのつくりかた(爆豪勝己)
繭莉がシャワーから出た後、自分もシャワーを済ませた勝己が寝室に入ると、そこにいると思っていた繭莉がいなかった。
「あ……!?」
いねぇし!なんでだ!?
「おい……」
どこに行ったのかとちょっと焦った勝己が辺りを見回すと、窓際のカーテンがふわりと風に揺れた。
よく見ると、ベランダに人影も見える。
ンだよ、脅かすなや……外にいんのか?
窓を開けると、それに気付いた繭莉が振り返ってふわりと微笑んだ。
「勝己さん」
「なんで外出てんだ。寒ぃだろうが」
「こっちじゃあんまり雪、見ないから……珍しいなって、思っちゃって……」
そう言って本格的に雪の降り始めた空を見上げる繭莉の横顔に、ほんの少しの間見惚れてしまった。
「あの、勝己さん?どうしました?」
「っ!」
不思議そうな顔で見られて、勝己は戸惑った。
つい見惚れてましたとはなんだか恥ずかしくて言えるわけがない。
「……中入れよ」
「はい……そうだ、勝己さん」
部屋に入ると、鍵を閉めながら繭莉が勝己の方を振り向いた。
「あ?」
「どうして、サイドキックの方に呼ばれたんですか?事件?」
そう聞かれて、先程の事を思い出して勝己はガシガシと頭をかいた。
「……あー……」
まぁ、彼にとっては大事件なのだろうが本当にしょうもないことだったのだ。
「事務所に蜘蛛が出たから何とかしろってよ……」
勝己がそう言うと、クスクスと繭莉が笑った。
「ふふっ……可愛いですね」
「は!?可愛かねぇよ!蜘蛛一匹でバカかっつぅ……」
ちょっとした悪態をつきながら繭莉をちらっと見ると、笑顔の彼女と目が合った。
「……?」
笑顔のまま小首を傾げる繭莉を、気付けば抱きしめていた。
「っ、勝己さ……」
急に抱きしめられて驚いたのか、彼女は僅かに目を見開いた。
「もういいだろ、この話」
「あ……」
戸惑いを隠せなくて、置き場に困った小さな手が勝己の胸板に触れた。
触れられた所から、じわりと言いようのない熱が広がっていく。
唇が触れそうな程顔を近づけて、額をコツンとすり合わせる。
「さっき分かってんだろって言ったよな?……シてぇんだけど」
「っ!……」
至近距離で見つめる先の繭莉は、真っ赤な顔をして小さく頷いた。