第17章 サイドキックのつくりかた(爆豪勝己)
大勢の男相手に、繰り出される数々の攻撃を避けては腕を叩いてモブ達の持っていたナイフだったりなんだったりを地面に落としていく繭莉。
「えっ、ウソなんで!?」
「全っ然当たんねぇ!」
そして、攻撃をいなしつつ上手く男に近づくと背負い投げ一発でそいつを地面に叩きつけた。
「ぐぁっ!」
「……観念してください」
「いってぇな!するか!」
地面に転がされたというのに、一向に観念する様子の無い男が暴れようとするが繭莉に完全に動きは制圧されている。
「許しません」
「あぁ!?」
「あなたは私の大事な友達を傷つけた。絶対に許しません」
繭莉は、勝己が見た事もないような冷たい目をしていた。
声も、静かでどこか地を這うようなちょっとドスのきいた声だ。
「逃げてみて下さい。どこまでも追いかけて、絶対にブタ箱にぶち込んでやるんで」
「……は……」
その視線と声に、男は完全に気圧されてしまったらしく抵抗するのを止めた。
普段の穏やかでビビりで自分に自信の無さげな彼女は、そこにはいなかった。
そこにいたのは、誰かを守るために戦う紛れもない正義のヒーロー。
「…………」
そんな彼女を呆然と見つめる勝己に、ジーニストは言った。
「以前彼女をサイドキックに雇用していた理由、分かるか?」
「……なんとなく、分かるわ……」
勝己が頷いた所で、パトカーのサイレンが路地裏に響き始める。
「あ!あんな所に通報の容疑者!確保しろ!」
「え、アイツ等やっつけたの、女の子!?」
「あ、ジーニスト、ダイナマイト、ご協力ありがとうございます!」
警官達が、何もしていない勝己達に会釈をして通り過ぎる。
犯人確保の現場をぼんやり眺める勝己の肩に、ジーニストが手を置いた。
「甘井は、やる時はやるタイプだ。……ダイナマイト」
「あ?」
「ひとつ、頼みたい事がある」
ジーニストの言いたい事は、なんとなく分かっていたが勝己は分からないふりをして続きを聞く事にした。
「なんだよ」
「甘井に、事務員ではなくサイドキックに戻るよう打診してくれないか?」
あんな、普段からは想像もできないカッコいい姿を見せられたら、サイドキックに戻って欲しいと誰だって思ってしまうかもしれない。
「言ったっていいけどよ……決めんのはアイツだぞ」
「分かっている」
