第17章 サイドキックのつくりかた(爆豪勝己)
すると、そんな勝己から一瞬で目を逸らした繭莉が俯いた。
「あの……ごめんなさい、私……」
今にもその伏せた目から涙でも出るんじゃないかと勝己は焦ったが、ここで自分がごめんと謝るのもなんだかおかしい。
「別に……つぅかてめぇに謝られても困んだよ」
考えに考えた結果、そんな言葉が口をついて出た。
繭莉が悪いわけじゃない。
悪いのは、ワンチャン狙いで近づいてきた奴らなのだという事を分かっている。
そいつ等への苛立ちを、繭莉にぶつけるのはおかしいというのも分かっている。
だから、勝己はこんな事しか言えなかったのだ。
そうこうしている内に信号は、何度目かの青信号に変わっていた。
「さっさと帰んぞ」
勝己は、この何とも言えない気持ちを抱えたまま繭莉の腕を掴むと家への道を再び歩き出した。
pm8:30。
夕食を終えてソファで一休みしていた勝己の元に、後片付けを終わらせた繭莉がやってきた。
「……はぁ……」
繭莉は軽く息を吐くと、勝己とある程度の距離を保ってソファに腰掛けた。
付き合っていて、なおかつ同棲までしているというのにこの妙な距離感はなんなんだろうか。
まぁ、ベタベタくっつかれるのもそれはそれでどうかと思うが。
でも、ちょっと距離くらいは縮まったっていいとは思う。
どうしたものかと思いながらふと繭莉の方を見ると、丁度彼女もこちらを見たようでがっつり目が合ってしまう。
「……」
それだけで顔を赤らめた繭莉がふいっと勝己から視線を逸らす。
「おい」
「っ!」
細い肩を出来るだけ優しく掴むと、ビクっと身体を強張らせる繭莉。
「何目ぇ逸らしとんだ」
「……あ、あの……っ……」
真っ赤な顔で目をぎゅっと瞑られたので、それをいい事にスッと顔を近づける。
お互いの唇が触れ合いそうになった、その時だった。
『お風呂が沸きました』
と、電子メロディに乗せてアナウンスが部屋に響いた。
こいつ……
ヘンなタイミングで沸いてんじゃねぇよ……!
勝己は、空気の読めない給湯器にげんなりした。
しかし彼(?)は、自分の仕事をしただけであって決して勝己の邪魔をしたいわけではない。
それは分かっているけれど……。