第17章 サイドキックのつくりかた(爆豪勝己)
「えっ、そうなんですか?」
「あぁ、轟の姉ちゃんが言っ」
てた、という続きは、背後から聞こえた「あのっ!」というデカめの声にかき消された。
その声に弾かれたように2人が後ろを振り向くと、そこには勝己よりも背がデカいまぁまぁなイケメンが立っていた。
どこのどいつだ、コイツ。
突然現れたまぁまぁなイケメンに勝己は不信感しか抱けない。
しかしどうやら繭莉は違うようだった。
「あ!あのっ……この間は、ご迷惑をおかけして……!」
そう言ってその男に深々と頭を下げた。
「いえ、迷惑だなんてそんな!あの後大丈夫でした?ところでエコバッグ、僕のおススメのがあるんですけどよかったら!」
男は、繭莉の目の前に綺麗に折りたたまれた新品のエコバッグを差し出した。
そのエコバッグを見て、勝己は思い出した。
数日前、繭莉が買い物をした時持っていたエコバッグの持ち手が破れて中身が大惨事になったという話を。
この男は、その話に関係のある人物だろうか。いや、十中八九あるだろう。
きっと、中身を拾うのでも手伝ってもらったに違いない。
それより何より。
この男はバカかと勝己は思った。
よくもまぁコイツはホイホイと人の彼女に声をかけてきやがって、その神経はどうなっているのかと問いただしてやりたい気持ちになる。
「あ、あの……すみません、その……」
グイグイくるそいつにめいいっぱい戸惑った表情の繭莉が、隣にいた勝己の服の裾をギュッと掴んだ。
その手元に気付いた男が、漸く勝己の存在に気付く。
「あ!す、すみません!もしかして隣、彼氏?気付きませんでした、本当申し訳ない!」
「……あ?」
繭莉にちょっとした下心があって話しかけた上に今まで自分の存在に気付きもしなかったという事実に、勝己は眉を顰めた。
「いやっ、本当すみません彼氏さん!あ、お姉さん、エコバッグ受け取ってください!それじゃ!」
繭莉に強引にエコバッグを握らせると、男はそそくさと去って行ってしまった。
「あ、待っ……」
その例のエコバッグの隙間から、何か紙切れがひらりと落ちたのを勝己は空中でキャッチした。
それを開くと、その紙切れにはご丁寧に11個の数字が並んでいた。
「んだよ、これ……」
それは、間違いなくあの男の電話番号だろう。