第13章 推しと好き(爆豪勝己)
そうは思うけど、涙が次から次に流れて止まらない。
「……う……」
何だか、泣いてるのを見られたくなくて私は俯いた。
「おい待て、俺が泣かせたみたいになるだろ」
明らかに戸惑っているざっぴーの声が聞こえるけど、どうやったらこの涙が止まるのかなんて私にも分からないので、泣き続けるしか私には出来なかった。
「甘井、」
「あー相澤先ぇ、何女の子泣かせてんですかぁ?」
突然聞こえた知らない声に顔を上げると、知らないイケメンが私の横にいつの間にか立っていた。
誰だ、マジで……
頭の中を疑問でいっぱいにしていると、イケメンは私の肩に手を回して耳元で囁いた。
「手紙、読んでくれた?」
て、手紙……
私は、さっきお茶子ちゃんに渡された手紙の存在を思い出した。
やっべ、読んでない……
読んでないどころか、ポケットに入れっぱなし……ですごめんなさい……
「……いえ……」
素直に返事をすると、イケメンは不敵に笑った。
「じゃあ、直接言っちゃおうかな!ちょっと来て」
「へぇっ?」
肩をぐっと引き寄せられて、変な声が出てしまった。
ちょっと来てって、どこ行くんだ!?
「おい、授業始まんだろ。教室戻れお前ら」
「えー相澤先生、人の恋路を邪魔するんですかぁ?」
「そんなもん、どうだっていいだろ。後でやれ」
右にイケメン、左にざっぴー。
なに、この状況……
私、1人になりたいんですけど……?
カオスすぎるこの状況に、つい誰かに助けを求めたくなってしまう。
こんな時、誰か颯爽と現れて私を攫ってくれないだろうか。
そんなしょうもない事を考えていると、後ろから「おい」と声が聞こえて私達は一斉に振り返った。
「……爆豪、お前何やってるんだ。教室戻れ」
ば、爆豪くん!?
やだ、気まずい事この上ないんですけど!
「うっせぇな」
爆豪くんはそれだけ言うと、突然の事が重なりすぎて戸惑う私の腕をグイッと引いて歩き出した。
半ば爆豪くんに引きずられる感じで歩きながら、状況を整理しようと試みる。
私……泣いててざっぴーがアレでイケメンがちょっと来いって言ってそれが爆豪くんに引っ張られ……えと……
あれ?私何言ってんだ?
状況を整理どころか、どんどんこんがらがっていくように思える。