第13章 推しと好き(爆豪勝己)
……え……
嘘でしょ?私が?爆豪くんを……
この瞬間、ただの腹立つクラスメイトが、好きなひとに昇格してしまった。
これから私、爆豪くんとどう接すれば……?
そんな事を悶々と思っている内に、教室に着いてしまった。
「みんなぁ、これ、受け取れって!」
私が教卓にドンとプリントの山を置きながら言うと、殆どの人が取りに来てくれた。
「何だぁ?この分厚いプリントの束」
「んー……聞いてないから、分かんない」
正直にそう言うと、質問してきた瀬呂くんが「あっそう」と言った。
そのうちどんどんプリントは減っていって、残ったのは2冊。
1冊は私の分として、残りのもう1冊は……。
……仕方ない、持ってくか……
「爆豪くん、これ」
取りに来なかった主、爆豪くんの目の前にプリントを差し出すと、私と目を合わせる事もしないまま彼は乱雑にそれを受け取ってページをパラパラと捲り始めた。
明らかに、避けられてる。
「……なんで……」
爆豪くんの視線は、プリントに落とされたままだ。
「どうして、避けるの?」
そう聞いても、返事は返って来なかった。
なんだか、悲しい。
そう思うと、目と胸の奥がとても痛くなって、視界がじんわりと滲んだ。
私は、教室に居るのが嫌になってとぼとぼと出入り口の方へ歩き出した。
「透ちゃん、私トイレ行ってくる……」
「え、授業始まっちゃうよ?繭莉ちゃん?」
透ちゃんの心配そうな声が聞こえたけど、どうしても1人になりたくて教室を出た。
まぁ、教室を出た所で何も解決しないのは、分かってる。
けど、1人になりたいもんはなりたいのだ。
好きになってしまったひとに、冷たくあしらわれる事のつらさを知ってしまった。
この気持ちを、どうにか落ち着かせたかった。
私は、この学校の中で1人になれる場はないかと考え、歩き出した。
「甘井、お前どうしたんだ?」
不意に呼び止められて、私は後ろを振り向いた。
振り向いた先には、ざっぴーがいた。
それにしても、驚いた顔してんなぁ……
なんでだろ……
「何か、あったのか?」
「え?」
そう言われて、自分が泣いている事に初めて気づいた。
冷たくされたからって泣くなんて、メンタル弱すぎじゃ……