第13章 推しと好き(爆豪勝己)
「あ、あの……!」
こんがらがった頭で、なんとか声を絞り出すけど爆豪くんはそれに構わずずんずんと歩き続ける。
な、なにもう、全然何にも分かんない……!
爆豪くん、何考えてるの?
教えて欲しいと思っていると、急に彼の足が止まった。
「……あ……」
今度こそ、何か言ってくれる?
そう思ったけど、爆豪くんは掴んでいた私の腕をパッと払うと、1人でまた歩き出した。
「ま、待って……っ……」
私は、つい彼の制服のブレザーの裾をぎゅっと掴んでいた。
「爆豪くん……さぁ……!」
振り返った爆豪くんの顔が、涙で滲んでどんな表情をしているのか分からなかった。
「なんで、そんな避けるの?」
何も言葉を発さない爆豪くんに、私は泣きながらまるで愚痴でも言うかのように言葉を続けた。
「昨日はさぁ……っ、あんな、優しかったのにっ……なんでいきなりそんな、冷たいの……私っ、初めてだったのに……もう、分かんないよ……!」
分かんない。
分かんないから、教えて欲しい。
ぐすぐすと泣き続ける私の腕をまた掴んだ爆豪くんは、目の前にあった誰も使ってないと思われる理科室のドアを開けると、そこに私を連れ込んだ。
勢いよくドアが閉まる音がして、私の身体はビクっと固まった。
「……んだよ……」
「……え?」
「俺だって初めてだったんだよ!これからどうすりゃいいか分かんなかったんだ、悪かったな!」
「……ええ……?」
滲んだ視界の向こうで、顔を真っ赤にする爆豪くん。
意外な告白に、私は吃驚して涙が止まった。
初めて……あれで?
てっきり、どこかであっさり済ませてたのかと……あ、いや……
別に、嫌われたとかそういうワケじゃ……なさ、そう……?
「そ、そ、っか……」
「で?お前はどうすんだ」
「へぇっ?」
わ、私?
どうって、なにが?
いきなりどうするんだと聞かれて、私は戸惑った。
「誰にいくんだって聞いとんだ!推しのざっぴーか?それともさっきのオトコか?あ?」
え、なにその選択肢……
「いや、ざっぴーはただの推しだからどうこうなりたいとかないですし、さっきのヒトはよく分かんないですし……?いや、特に……?」
ちょっとしどろもどろになりながらそう返すと、爆豪くんは私を真っ直ぐに見つめてきた。