【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第3章 When It Hurts to Love
その言葉に、研磨は少しだけ視線を仁美に向けた。
「それ、違う。」
「え?」
「お前ほど、俺たちと相性いい女の子、いないと思うけど。」
それは、まるで息をするように自然な声だった。
慰めの響きも、気取った優しさもない。
ただ––––本音をそのまま差し出したような言葉。
「……っ。」
仁美の胸の奥に、ほんの少し温かいものが広がった。
泣きそうだった気持ちが、すこしだけやわらぐ。
彼のそういう言い方は、昔からずるい。
「……ありがと。」
仁美は少し笑って、手に持っていた紙コップのポテトを差し出した。
「一本、食べる?」
そう言いながら手を伸ばしたその瞬間–––––。
研磨の手が、不意に仁美の手首をつかんだ。
「えっ––––。」
そのままもう片方の手で仁美の口元を軽く押さえる。
距離が一気に近づいた。
目の前で、研磨の瞳が真っ直ぐに仁美を見ていた。
その目は、いつものぼんやりしたものとはまったく違っていた。