【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第3章 When It Hurts to Love
薄暗い空間の奥––––そこで、小さく丸くなって座っている影があった。
「……研磨?」
声をかけると、彼はゆっくりと顔を上げた。
ワイヤレスイヤフォンを片耳に付けたまま、猫みたいに背中を丸めて壁にもたれて体育マットの上に座っている。
「なに、こんなとこで。」
研磨は軽く片眉を上げ、イヤフォンを外した。
「仁美こそ。」
「……ちょっと、静かなとこ来たかっただけ。」
研磨の無造作な姿勢と、倉庫の静けさが、不思議と心に沁みた。
仁美は研磨の隣に腰を下ろした。
体育倉庫の中はひんやりとして、文化祭の喧騒が嘘みたいに遠い。
「……クロのこと、探したんだけど。」
仁美がぽつりと口を開いた。
自分でも、誰かに話したかったんだと気づいた。
「どこにもいなかった。誘ってくれたのに、なんか……当てが外れたっていうか。」
研磨は黙って聞いていた。
うなずきも相槌もなく、ただ静かに耳を傾けている。
「タイミング、悪いのかな。クロとは……なんか、いつも噛み合わない気がする。」