• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第3章 When It Hurts to Love


「……静かに。」




低く、抑えた声。

研磨の吐息が近い。

仁美は驚きと困惑で固まったまま、言葉を失う。




一気に張り詰めた空気の中、体育倉庫の外、なにかがかすかに動く音がした。




仁美は研磨の手の中で固まった。

体育倉庫の薄暗い空気のなかで、外に“誰か”の気配があるのが、はっきりと分かった。



ごくり、と小さく喉が鳴る。

研磨の指先がその音さえも制するように、もう一度口元を押さえる。




仁美はそのまま、鼓動の音すら殺すように息を止めた。



外からは、途切れ途切れに小さな声が聞こえる。

二人分。

男女––––間違いない。




(聞いちゃだめ……。)




分かってる。分かっているのに、耳が勝手に声を拾おうとする。

音の輪郭を必死に追いかけるように、意識が外に引っ張られていく。



外から聞こえる声は、風に揺られるように小さく、ときどき早口になったり、詰まったりしている。



その声に仁美の息が一瞬止まった。




彼の–––––黒尾の声だ。


/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp