【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第3章 When It Hurts to Love
視界の真ん中にいる黒尾の姿に、目が釘付けになる。
まるで息をするのも忘れるくらい。
黒尾がふと周囲を見渡した瞬間、仁美は慌てて目線を逸らした。
だけど心臓の高鳴りは、簡単には止まってくれなかった。
「仁美。」
教室の前で人に囲まれていた黒尾が、ふとこちらに気づいた。
人混みを抜けて、まっすぐに受付の方へ歩いてくる。
その姿を見た瞬間、仁美の胸が小さく跳ねた。
「もう文化祭、回った?」
いつもの調子で黒尾が声をかける。
少し汗ばんだ額、乱れた前髪。
執事服姿でそんな仕草をされるのが、ずるいくらいかっこよく見えた。
「まだ、ちょっとだけ。」
「じゃあさ。俺の交代の時間になったら、一緒に回らない?」
「……!」
仁美は反射的に息を呑んだ。
返事をしようと口を開きかけた、その瞬間––––
「すみませーん、受付いいですか?」
タイミングを切り裂くように、女性の声が入った。
振り向くと、私服姿の女性が受付に立っていた。