【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第3章 When It Hurts to Love
この綺麗な三角形の形が崩れるのは、仁美もまた望んでいないからだ。
仁美は研磨にそれ以上は何も言わないで、その後は一通り文化祭を楽しめた。
そして自分のクラスの受付交代の時間になる。
飾りつけされた壁を通るたびに、いろんな匂いや声が飛び交って、文化祭の熱気が肌にまとわりついた。
そんな中で、自然と足が速くなる。
自分のクラスの前に着くと、ふと視線の先に彼がいた。
「……!」
執事服姿の黒尾が、教室の中で人に囲まれていた。
黒のベストに白いシャツ、蝶ネクタイにグローブ。
背筋を伸ばした姿勢が妙に似合っていて、スマホを向けられても、あの飄々とした笑みは崩れない。
女子たちがきゃーきゃーと歓声を上げながら撮影している。
その真ん中にいる黒尾は、まるで舞台の主役みたいだった。
仁美の胸が一気に跳ね上がる。
「……やば……。」
喉の奥から小さく声が漏れた。
「執事服って、ずるい……。」
仁美は教室の入口の陰にそっと身を潜めながら、頬を押さえた。