【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第3章 When It Hurts to Love
「……で、やめんの?」
人混みのざわめきの中、研磨が小さな声で言った。
ゲームの音や笑い声にまぎれてしまいそうなほどの、淡々としたトーン。
仁美は一瞬だけ俯いたあと、顔を上げた。
「やめない。」
その声には迷いがなかった。
自分でも驚くくらい、はっきりとした声だった。
「ちゃんと……言う。頑張る。」
研磨は、ふっと視線を逸らした。
ため息をつくでも、驚くでもなく、いつもと同じ表情。
「ふーん。」
ほんの少し目を細めたようにも見えたけれど、すぐにまた無表情に戻る。
仁美はそんな研磨の反応を見慣れていた。
でも今日は、それが少しだけくすぐったくて、少しだけ胸の奥がチクンとした。
研磨に励まして貰いたかったけど、研磨はそうしなかった。
勉強の事や他の事では色々アドバイスをくれる研磨。
仁美はふと気が付いた。
黒尾のことになると、研磨はいつも口をつぐむ。
そんな彼におかしいとは思いながらも、仁美は無理もないことだとも思った。