【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第11章 The Night I Chose You
その言葉は、祝福にも祈りにも似ていた。
ほんの少し滲む寂しさを含んだまま。
研磨の言葉に、仁美は切なさを覚えたが、それでも微笑んで頷いた。
その仁美を見て 研磨の顔もまた柔らかくなる。
そこへ、やっと後輩たちを振り切った黒尾が歩いてきた。
「おー、二人とも探した。」
いつもと変わらない声。
でも、その目はわずかに仁美 をじっと追っている。
三人で並び、卒業式の看板の前に立つ。
最後の三人の写真は、他の誰にも真似できないほど自然で、温かくて、
どこか切なかった。
「研磨、またな。」
「……うん、またね。」
「研磨ありがと。クロ行こ。」
研磨と別れ、黒尾と仁美 は校門から遠ざかるように足早に歩いた。
二人とも、まるで急ぐように。
周囲のクラスメイトたちを避けるように。
──今日だけは。
誰にも邪魔されたくなかった。
二人きりになるために。
駅前の雑多な喧騒の中、仁美 と黒尾は、制服から私服へ着替えていた。