【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第11章 The Night I Chose You
震えて逃げようとする黒尾の視線を、自分へまっすぐに向けさせる。
黒尾の呼吸が止まる。
その黒い瞳に、仁美の姿だけが映る。
「……クロ。」
呼んだだけで黒尾の肩が揺れた。
仁美は胸の奥の深いところから、静かに言葉を押し出す。
「……好き。クロのことが、好きだよ。」
黒尾の目がゆっくりと見開かれる。
驚きの色が、そのまま痛みに変わり、そして何かに救われたように震えた。
「……私を、クロの“唯一”の好きな人にして。もう誰にも、心を渡さないで。」
黒尾の喉が小さく鳴った。
泣きそうにも笑いそうにも見える顔で、仁美の手を強く握る。
「……仁美。俺の“好き”は……もうずっと、お前だけだよ。他の誰にも、あげない。」
黒尾は仁美の手の甲に額を押し当てながら言った。
噛みしめるように、祈るように。
「ほんとに……ほんとに、お前だけなんだ。」
その声は弱かった。
仁美はそっと腕を伸ばし、黒尾を抱きしめた。
黒尾も同じ強さで仁美を抱き返す。