【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第11章 The Night I Chose You
振り返った黒尾は、はっとしたように目を見開く。
仁美 の肩が上下しているのに気づき、そこで初めて、自分がどれほど強く、どれほど乱暴に仁美 を引っ張っていたのかを理解した。
「……ごめん。」
その声には後悔と罪悪感がにじんでいた。
息を整えながら立ち止まっている 仁美 を前に、黒尾は拳を握りしめる。
自分の乱れた感情を、必死に抑え込んでいるのがわかった。
「仁美……ごめん、本当に。痛かっただろ。」
その目は今にも泣き出しそうで、けれど涙を堪える子供のように必死だった。
だけど、仁美 はその謝罪に声を返せなかった。
胸がいっぱいで、苦しくて、言葉にできないのだ。
自分のすべきことは、もうした。
その選択に嘘はない。
あの人に向き合って、黒尾の隣に立つと決めた。
あとは、黒尾が自分の意思で決めること。
仁美はただ静かに黒尾を見上げた。
その沈黙が、黒尾の胸に深く沈んだ。
仁美は俯いている黒尾の顔を、そっと両手で包んだ。