【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第11章 The Night I Chose You
仁美 は背伸びをして、黒尾の胸に腕を回した。
まるで彼の全部を、自分の腕の中に閉じ込めてしまうように。
「……ねぇ、クロ。」
小さく震えた声だが、迷いなく黒尾を呼んだ。
黒尾は仁美を抱き返しながら、ゆっくりと顔を下げる。
仁美 は彼の胸元に頬を寄せて、息を整えた。
ぎゅっと抱きしめる腕に、決意が宿る。
「──わたしを、全部……クロのものにして。」
仁美のその言葉に黒尾の呼吸が止まった。
「仁美……。」
仁美の言葉の意味が分かるのに、それ以上の言葉が出てこない。
黒尾の喉が上下する音が聞こえるほど、空気が震えていた。
「卒業式のあと……親には遅くなるって言う。クラスの卒業会には行かない。……クロと、二人だけで過ごしたい。」
その意味を、黒尾が理解するまで数秒。
彼の指が、仁美 の背中を掴むみたいに強くなった。
「……ほんとに……?」
低く、震えて、信じられないみたいな声。