【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第10章 Honeyed Threat
『わかった。無理はしないで』
本当は無理してでも一緒にいたいのに。
本当は誰にも渡したくないのに。
けれど、嫌われることの方が何倍も怖かった。
次の日、黒尾は学校にいた。
向かったのは体育館。
手には古いバレー部のジャージ。
“別々に過ごしたい”と言われた理由を深読みしまいと、頭の中がざわざわ騒ぐのを押さえ込むように、ただ歩いた。
体育館に顔を出すと、ボールが跳ね返る乾いた音が、黒尾の胸を少しだけ軽くした。
研磨がいた。
目が合った瞬間、研磨はほんの一瞬だけ、黒尾のジャージと表情を見比べる。
黒尾は、「……あ、いや、その……」と珍しく言い淀む。
普段の軽快さなんてどこにもなく、靴先で床をこすりながら視線を泳がせている。
研磨は溜息すらつかず、淡々とした声で言った。
「やってけば?」
黒尾の顔が、ぱっと明るくなる。
「……いいの? 俺、ちょっとぶりだけど」
「動けるでしょ…。」
研磨のその言葉に、黒尾の胸の奥で“何か”が温かくほどけた。