【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第10章 Honeyed Threat
仁美 が振り返る。
「……クロは家庭学習の課題は?見てるだけでいいの?」
「うん。見てるだけでいい。」
見ていないと落ち着かない、という本音は飲み込んだ。
仁美 が視線をノートに戻すと、黒尾は小さく息を吐いた。
たったそれだけの動きにも、胸の奥に鋭い痛みが走る。
彼は昨夜、仁美 の身体を壊れ物みたいに抱きしめたあと、彼女が泣きながら「わかった」と頷いた表情を何度も何度も思い返していた。
“俺のこと、好きなんだよね?”
その問いに、涙のままこくりと頷いてくれた。
その瞬間、黒尾は自分でも抑えようのないほど、救われたのと同時に、狂おしいほどの独占欲に火がついた。
絶対に手放したくない。
誰にも触れさせたくない。
誰にも連れていかれたくない。
研磨であっても。
特に──研磨だけは。
昼過ぎ。
仁美 のペンが止まると、黒尾はすぐ近くへ移動する。
「疲れた?」
「少し……。」
黒尾は背に手を添えて、軽く引き寄せるようにした。