第29章 起首雷同
夜に、下から、それからもう1つ。峡谷の下に川があった。川や境界を跨ぐ彼岸へ渡る行為は、呪術的に大きな意味を持つ。ロロ達は川を跨いだ。すると、結界に入ることができた。
「出たな、祓い甲斐がありそうね」
釘崎がそう言うと、ロロ達は天井にいるモグラみたいな呪霊を眺める。
「あ"?何だぁ?先客かぁ?」
3番こと血塗が現れた。
「伏黒、コイツ別件だよな」
「…あぁ」
「じゃあ、オマエらはそっち集中しろ。コイツは俺が祓う」
「何だぁ?遊んでくれるのかぁ?」
虎杖と血塗が闘っている間、ロロ達はモグラの呪霊の方を祓う。
「芻霊呪法『共鳴り』」
釘崎が術式を使うが、モグラ叩き並みに逃げられてしまう。ロロは鬼のお面を付けて、穴の出口を潰していく。限定的とはいえ術式範囲が広い分、本体に攻撃能力が多分ない、と伏黒は言う。このまま、逃げ道をなくしていく。その時、突然現れた両手が釘崎の腕を掴んで、吸い込もうとする。
「野薔薇!!」
「問題ない。ロロと伏黒はモグラを叩け」
間に合わなかった。釘崎は消えてしまった。
「何だぁ?兄者かぁ?俺もっ」
そう言うと、血塗は走り出して結界を出た。
「そのまま追え!!釘崎もソイツも結界の外に出たんだ。予想以上に面倒くせぇのと、バッティングしてるかもしんねぇ!!逆にコッチは想定よりずっと楽だ!!1人でなんとかなる!!釘崎優先!!追え!!」
「行くよ、悠仁」
「やばくなったら伏黒も出てこいよ…!!」
ロロと虎杖は結界を出た。
「このっ…、さわんな!!」
釘崎は金槌を振り回す。掴まれていた手は離れた。
「女性でしたか。これは失礼」
「何だ、夜叉椿じゃないのか」
2番こと壊相と鬼哭羅がそこにいた。つまらねぇ、と言って鬼哭羅は岩に腰掛けた。
「我々兄弟に課せられたお遣い…、その中に呪術師殺しは含まれていない…。退けば見逃しますよ、お嬢さん」
「お遣い?」
「てっきり同じお遣いかと。我々の目的は宿儺の指の回収ですよ」
壊相はそう言った。鬼哭羅は大きな欠伸をした。
気配が大きすぎるモノ、息をひそめているモノ、既に呪霊に取り込まれているモノ。これは『共振』。取り込まれた呪霊の中で力を抑えていた宿儺の指が、6月の虎杖の受肉をキッカケに呪力を解放したみたいだ。