第29章 起首雷同
『恐らく虎杖君の成長を加味した上で、割り振られた任務。そこから更に、危険度が上がるとなると、2級術師の手には余るかと。皆さんも同様です。個人的には撤退をすすめます』
伏黒は思考する。自分だけでも戻るかと。けど、もう4人でも危険な任務。3人だけには任せられない。来週には、五条も帰ってくる。その時改めてと思ったが、問題は時間制限だ。呪霊が襲ってくるタイプじゃなく、マーキングした人間の内側から術式が発動するタイプなら、側で守り続けても意味がない。今すぐ、祓うしかない。
「恵、大丈夫?」
「なんで伊地知さんと話してんの?」
「津美紀の姉ちゃん無事だったか?」
伏黒のことが気になり、近くで話を聞いていたロロ達。
「問題ない。それより、任務の危険度が吊り上がった。この件は他の術師に引き継がれる。オマエらはもう帰れ」
「オマエらって。伏黒は?」
「俺は武田さんに挨拶して帰る」
釘崎と虎杖を車の中に押し込む。
「恵、私まだ3級だけど、等級以上に強いから役に立つよ」
「そうだ!伏黒、鬼住強いんだ。なんせいっきゅ」
そこまで言って、虎杖は自分の口に手を当てる。秘密だったことを忘れていたのだ。釘崎は疑問符を浮かべる。
「…いや、いい。ほら、行け!」
ロロも車の中に入れられ、新田の車が動き出す。ロロは窓から小さくなる伏黒を眺めた。
夜になり、伏黒は八十八橋の下を歩いていた。新田が言うには、藤沼の姉が行った肝試しは橋の下でしたそうだ。呪霊が結界内にいるなら、手順は大事だとも言っていた。夜に、下から、それからもう1つ。
「自分の話をしなさ過ぎ」
「だな」
ロロ達の尾行に気づかなかった。
「ここまで、気付かないとは。マジでテンパってるのね」
「別に何でも話してくれとは言わねぇけどさ、せめて頼れよ、友達だろ」
友達、という言葉に伏黒は動きを止める。
「津美紀は寝たきりだ。この八十八橋の呪いは被呪者の前にだけ現れる。本人が申告できない以上、いつ呪い殺されるか分からない。だから、今すぐ祓いたい。でも、任務の危険度が上がったのは本」
「はいはい」
「はじめっからそう言えよ」
「お姉さんに任せなさい」
同い年でしょ、と釘崎からツッコミが入る。