第29章 起首雷同
「こういう呪物ってさぁ、なんで壊さないの」
呪胎九相図を眺めながら、真人が夏油に聞く。
「壊せないんだよ。特級ともなるとね。生命を止め、他に害を為さないという『縛り』で、存在を保障するんだ」
「宿儺の指は有害じゃんか」
「アレは特別。呪物と成ってその上、20に分割しても尚、時を経て呪いを寄せる化物だよ。それ故に器を選ぶ」
「フーン。じゃあ、九相図は誰でもいいわけだ」
真人はそう言うと、壁に張り付けている男性を見る。
「おいっ!!アンタ!!金…金!?俺!!そんな持ってないけどさっ、サラ金とかなんかあんだろ!?」
男性は夏油に向けて叫んだ。
「大丈夫かなぁ。この状況で俺と鬼哭羅が見えてないとか、マジで才能ないよ」
真人は男性の口を開いた。男性は何が起こっているのか理解できていない。
「はい、あーん」
3番を男性の口に入れる。男性はみるみる形を変えていく。
「ほう…」
鬼哭羅は顎に手を当てる。
「やぁ、起き抜けに申し訳ないんだけどさ、ちょっとお遣い行ってきてくんない?」
完全に復活した3番は頷いた。
その頃、ロロ達は鯉ノ口峡谷の八十八橋に来ていた。新田は一度帰り、ロロ達だけで検証することになった。虎杖はビニール紐でバンジージャンプをするが、何も起きなかった。
「ちょっと、呪霊の呪の字も出ないじゃない」
朝日が出てきた。釘崎がボソリと呟いた。新田に電話をして、近くのコンビニで朝食を買う。
「残穢も気配もまるで感じられませんでした」
「っスか…。となるとハズレ、ふりだしっスかね」
「でも、時間かけるのはマズくねぇ?」
「なんでよ」
「だって有名な心霊スポットなんだろ?呪われてる人はまだまだいるかも。しかも今ん所、致死率100%。これ以上、人死には勘弁だろ」
「そうだね…」
虎杖の言葉にロロは頷く。
「流行ってたのは、バンジーっスよね。『飛び降りる』って行為が鍵なんじゃないっスか?」
「それはもう虎杖で試しました」
「え゙!!もしかして、あのビニール紐でとんだんスか!?」
新田は驚く。
「あぁ!!いたーっ!!良かったー!!伏黒さーん!!」
藤沼が自転車に乗り、こっちに来る。荷台に女子が乗っている。女子は藤沼の姉で伏黒の同級生だそうだ。