第27章 完遂
「結局、俺なんもしてないよ。怒られちゃうかなぁ。それに比べて、君は働きすぎ」
アジトの近くまで帰ってきた重面春太はそう言うと、花御を見る。花御は上半身の左側がなくなっていた。五条の術式をくらったみたいだ。その場に花御が倒れ込む。鬼哭羅は興味ない様子で歩きだす。
「かわいそっ。楽にしてあげようか」
重面は舌舐めずりすると、組屋が作った柄が人の手になった奇怪な刀を握る。
「お疲れ。人間のくせに勝手すんなよ。殺すぞ」
「嫌だなぁ、優しさじゃんか。呪いにこの機微は分かんないか」
真人の言葉に肩をすくめて、重面は刀を下ろす。
「で、ブツは?」
「バッチリさ。特級呪物『両面宿儺』。高専保有分、6本。同じく特級呪物『呪胎九相図』。1番〜3番」
真人は地面に倒れている花御を起こす。
ある一室に五条達が集まっていた。
「続いて人的被害です。2級術師3名。準1級術師1名。補助監督5名。忌庫番2名。高専に待機していた術師で、五条さんや夜蛾学長と別行動だった方達ですね。家入さんからの報告待ちですが、以前、七海さんが遭遇した呪霊の仕業でほぼ間違いないかと」
伊地知が報告した。五条は舌打ちをする。
「この件って学生や他の術師と共有した方がいいですかね」
「上で留めておいてもらった方がいいだろう。呪詛師界隈に特級呪物流出の確信を与えたくない。捕えた呪詛師は何か吐いたか?」
夜蛾が尋ねる。高専に捕まったのは組屋だった。組屋は自分は取引きの上、命令されてやったに過ぎないと言った。指示を出していたのは、性別不詳のオカッパ坊主の子供だったそうだ。
「そもそもなんで呪霊や部外者が、天元様の結界抜けられたのよ」
歌姫の疑問に五条が答える。それは花御のせいだと。呪霊は呪霊でも限りなく精霊に近いのではと、考える。東堂の話によると、植物に潜り込めたらしいし、天元の結界も植物には機能しないのだろう。
「天元様の結界って『守る』より『隠す』に全振りしてるから、懐に入られるとちょっと弱いよね」
「とりあえず今は、学生の無事を喜びましょう」
「だが、交流会は言わずもがな中止ですね」
「ちょっと、それは僕達が決めることじゃないでしょ」
五条の言葉に、夜蛾、楽巌寺、冥、歌姫は疑問符を浮かべた。