第24章 鬼哭羅
人気のない秘湯に、漏瑚と鬼哭羅(きこくら)がいた。温泉につかる鬼哭羅とその側でパイプ煙草を吸う漏瑚。
「鬼哭羅ー!!漏瑚ー!!」
真人が服を脱ぎながら、こちらに走って来る。そのまま真人は温泉にダイブした。水飛沫が鬼哭羅と漏瑚にかかる。
「真人テメェ、何しやがるっ!!」
鬼哭羅は立ち上がり真人に抗議する。だが、真人は楽しそうに泳いでいた。
「呪力は大分戻ったようだね」
「まぁな。ここは、居心地がいい。人間共も寄りつかん」
夏油が漏瑚に話かける。
「肉体がないのも考えもんだよねー。自己補完の効率悪いし」
「真人テメェ、随分と消耗しているな」
鬼哭羅は真人を見つめる。
「あ、バレたー?宿儺と器、アイツら天敵でさぁ。たまたま手に入った玩具から始まった遊びだったけど、なかなかうまくいかないね。やっぱり人質とって、ハッキリ『縛り』作らせるべきじゃなかった?」
「いや、縛りはあくまで自分が自分に科すものだ。他者の介入や他者間との縛りは簡単ではないよ」
夏油の言葉を聞き、真人は思考する。順平の形を変えず、普通に致命傷を与えれば良かったかなと。
「漏瑚、宿儺に触れて分かったけど、とりあえず夏油のプランを軸に進めていいと思う。宿儺にはそれだけの価値がある」
「指を全て集め、宿儺に献上する…か。結果、儂らが全滅してもだな。いいだろう。100年後の荒野で笑うのは、儂である必要はない。呪いが人として、立っていればそれでいい」
鬼哭羅は自分には関係ないと、そういう顔で欠伸をした。
「あ、そうだ。鬼哭羅も参加してもらうからね」
「はぁ!?前にも言っただろ。俺はやらねぇって」
「面白い人がいてね。確か、夜叉椿って言ってた。鬼哭羅と同じ鬼だってさ」
鬼、という言葉に鬼哭羅はピクリと反応する。
「しかも、この世界の人間じゃなかった」
「へぇ」
今度は夏油が興味を持った。
「真人、夜叉椿は前の名前だろう。今はなんて名前か分かるかい?」
「えっと、鬼住って言ってたと思う」
「なるほど、鬼住ロロか」
何故か夏油はロロの名前を知っていた。ニヤリと笑うと、夏油は鬼哭羅の方を見る。鬼哭羅は狂喜の目に満ちていた。
「真人、そいつのこと詳しく教えろ」
「参加してくれるならね」
「あぁ、お望み通り参加してやるよ」