第23章 夜叉椿
ロロは部屋に戻ると、ベッドに横になる。そして、目を閉じる。ゆっくりと目を開けるとそこは部屋ではなく、宿儺の生得領域だった。
「…やった。会えた」
振り返ると、宿儺が頂に座っていた。
「…なんの用だ」
「宿儺、お願いがあるの。領域展開を教えて欲しいの」
ロロはそう言うと、頭を下げた。
「…くだらん」
そう言われても、ロロは頭を上げない。
「お願いします」
そんなロロを見て、何かを思いついた宿儺はニヤリと笑う。
「頭を上げろ。いいだろう、教えてやる」
「本当!?」
ガバっと頭を上げるロロ。
「ただし、条件がある」
「条件?」
宿儺はロロの側に降り立った。
「俺が許可するまで領域展開を禁ずる」
「縛りってこと?」
「そうだ。どうする?」
ロロは少し考えた後、頷いた。
「宿儺に教えてもらえるなら、それでもいいよ」
「ケヒヒッ」
交渉成立。
「何故俺なんだ。アイツがいるだろう」
アイツとは五条のことだろう。
「そりゃあ、好きな人に教えてもらった方が、テンション上がって嬉しいからだよ」
ロロは照れながら宿儺をチラチラと見る。呆れた様に宿儺は溜息を吐いた。
「もう一度だ」
宿儺の声が響く。
「…もう2回以上やってる」
「だから何だ」
「呪力が空っぽになりそう」
「空になる前に成功させろ」
あまりにも容赦がない。それでも、宿儺は一度も休めとは言わなかった。
「領域展開は、呪力を大量に消費する。ならば無駄を減らせ」
宿儺がロロの胸元を指差す。
「お前は領域を発動させる瞬間、呪力が一度膨らみすぎる」
「膨らむ?」
「力んでいるんだ」
「…じゃあ、どうするの?」
「抑えろ」
「難しいよ」
「だから訓練している」
ぐうの音も出ない。ロロは鬼のお面を付ける。
「領域展開」
空間が歪む。今度は先ほどよりうまくいっているが。
「領域が薄い」
「そんなことまで分かるの?」
「見れば分かる」
宿儺が指を1本立てる。
「領域は広さを競うものではない。領域をどれだけ正確に空間へ落とし込めるかだ」
「…つまり?」
「狭くてもいい。まず完全に支配しろ」
その瞬間、宿儺が踏み込んだ。