第4章 懐玉
「弱かったね、この人」
「ああ」
瞬殺でやられたバイエルは伸びていた。倒したことを夏油に知らせる為に、写真を撮って送信する。Qの最高戦力だったバイエルが離脱したことにより、組織が瓦解したそうだ。
夏油と合流したロロと五条は、安全な場所に移動することにした。五条が星漿体こと天内理子をお姫様抱っこしたら、天内が目を覚ました。天内が思いっきり五条にビンタする。ロロと夏油が笑う。
「下衆め!!妾を殺したくば、まずは貴様から死んでみせよ!!」
「理子ちゃん、落ち着いて。私達は君を襲った連中とは違うよ」
「嘘じゃ!!嘘つきの顔じゃ!!前髪も変じゃ!!」
天内の足を五条が、手を夏油が掴むとギリギリと捻じる。それを見てロロは、顔をお面で隠して笑う。
「おっ、おやめ下さい!!」
「黒井!!」
「お嬢様、その方達は味方です」
星漿体世話係の黒井美里が、夏油の呪霊の上に乗ったままそう言った。夏油の術式は、呪霊操術というもので、文字通り取り込んだ呪霊を操れるのだ。
「思ってたよりアグレッシブなガキんちょだな。同化でおセンチになってんだろうから、どう気を遣うのか考えてたのに」
「フンッ!!いかにも下賤な者の考えじゃ」
「あ"?」
「いいか。天元様は妾で、妾は天元様なのだ!!貴様のように『同化』と『死』を混同している輩がおるが、それは大きな間違いじゃ。同化により妾は天元様になるが、天元様もまた妾となる!!妾の意思!!心!!魂は同化後も生き続け、聞けぇ!!」
天内が熱弁している間、待ち受けを見せ合うロロ達。ロロの待ち受けはもちろんお面だ。五条と夏油はドン引きしていた。
「あの喋り方だと友達もいないじゃろ」
「快く送り出せるのじゃ」
「学校じゃ普通に喋ってるもん!!…学校!!黒井、今何時じゃ!?」
「まだ昼前…、ですがやはり学校は」
「うるさい!!行くったら行くのじゃ!!」
ロロ達は廉直女学院中等部に来ていた。五条が夜蛾と電話している。高専に戻った方が安全だと五条が言うが、天元の命令で、天内理子の要望には全て応えるようにとのことだ。
同化後、天内は天元として高専最下層で結界の基となる。友人、家族、大切な人達とはもう会えなくなるのだ。好きにさせよう。それが、ロロ達の任務だから。