第19章 もしも
「愉快、愉快。矜持も未来も!!お前の全てを捧げて!!俺に寄り縋ろうと!!何も救えないとは!!惨めだなぁ!!この上なく惨めだぞ!!小僧!!」
そう言うと、宿儺と真人は、ゲラゲラと大笑いした。ロロはそんな宿儺に見惚れていた。あぁ、残忍なところも好きだ。
「ゆ…うじ、な…んで?」
呪霊になった順平は、そう呟いて絶命した。虎杖は静かに亡骸を見つめる。はっ、と我にかえったロロは、モゾモゾと動くと後少しで抜けれそうだ。
「あっ、もう死んだ?ちょっと乱暴に形変えたからね」
真人は笑い涙を拭う。虎杖は真人の顔面に拳を入れた。
「けど残念、効かないよ。魂の形を保っていー」
鼻血が出ていることに驚く真人。真人は思考する。虎杖は器。常に肉体の中に自分以外の魂が在る存在。だから、自然に魂の輪郭を知覚しているみたいだ。
「ブッ殺してやる」
虎杖の腹の底から出た本音だった。
「『祓う』の間違いだろ。呪術師」
真人はペロッと血を舐めた。虎杖は自らの命を顧みない。人質にする外的な『縛り』は夏油に止められている。ならば、殺したい程憎い相手を殺せない時、虎杖は宿儺に頼るだろうか。順平で足りなければ、そこにいるロロを目の前で変えればいい。利害が越えた憎しみで宿儺との交渉を促し、虎杖に『縛り』を科す。それで宿儺を仲間に引き入れる確率が上がれば、万々歳。だがこれは、真人が虎杖より強いことが大前提。真人は壁に押さえ付けていたロロを、自分の方に引き寄せた。
「鬼住っ!!」
真人がニヤァッと笑うが。
「ナメるなよ、クソガキ」
ロロは鬼のお面を付けると、真人の顔面を殴る。真人は壁にぶつかり、瓦礫の中に倒れる。すると、土煙からストックしていた改造人間が5体出てきた。
「悠仁!改造人間の方は私に任せて、ソイツをお願い!!」
「おう!」
虎杖は真人の後を追った。ロロは襲ってくる改造人間を1体1体確実に殺していく。元人間でも抵抗はない。全部殺したロロは、破壊音がする方へ走った。
虎杖と真人は校舎の外で戦っていた。真人が伸ばした腕を引っ張るが、それに棘が生えて虎杖の手に穴があく。虎杖はそれを気にもせず、真人を壁に叩きつける。
「放すだろ、普通」
あまり効いてないようだ。