第18章 いつかの君へ
七海と2級術師の猪野琢真は、真人のアジトにまた来ていた。すると、伊地知から連絡があり、虎杖に電話する。
『俺は行くよ、ナナミン』
「駄目です。理由は今朝も言いましたね。『帳』まで下りたとなると、奴は生きている上、里桜高校にいる可能性が高い。すぐ戻ります。鬼住さんと虎杖君は待機していて下さい」
電話を切った七海は、踵を返す。言っても、虎杖は里桜高校に行くのだろう。
「そういうわけなので、後任せます。猪野君」
「え"ぇっ!?」
「何か問題でも?」
猪野は頭をかいた。
「いや数がさぁ、多いよね…。しかも人間なんでしょ」
「1級推薦の件、引き受けてもいいですよ」
「おー!!頑張るぞーっ!!」
七海は急いで里桜高校に向かった。
数十分遅れて、ロロも里桜高校に着いた。虎杖と順平が戦っているのだろう、破壊音が聞こえる。ロロは虎杖を探す為に、校舎の中に入った。
「引っ込んでろよ!!呪術師!!関係ないだろ!!」
「それはお前が決めることじゃねぇ!!」
「無闇な救済になんの意味があるんだ…。命の価値を穿き違えるな!!」
澱月を虎杖に放つ。
「霊長ぶってる人間の感情…心は!!全て魂の代謝!!まやかしだ!!まやかしで作ったルールで僕を縛るな!!奪える命を奪うことを止める権利は誰にもない。そこで寝ててよ。僕には戻ってやることがある」
順平が歩き出そうとした時、首根っこを掴まれる。
「誰に言い訳してんだよ」
虎杖に殴られて、順平は4階の窓から外に投げ出される。澱月をクッションにして衝撃を減少させた。虎杖に澱月の毒が効かないことに、順平は少し焦る。空中にいる虎杖は身動きがとれない。潰すなら、着地寸前。2本の毒針を虎杖に向けるが、虎杖は着地時点を拳で叩き殴る。屋根が歪み、足元が不安定になる。また虎杖に頬を殴られた順平は、校舎の中に戻る。
「こんなことして、あの人が喜ぶと思ってんのか!順平!!」
順平の目が見開く。
「人に心なんてない。そうでなきゃ…そうでなきゃ!!母さんも僕も人の心に呪われたって言うのか。そんなのあんまりじゃないか…。もう何が正しくて、何が間違っているのかも…」
涙を流しながらそう言った順平は、2本の毒針を虎杖に伸ばす。虎杖はそれを避けずに体で受け止めた。