第17章 固陋蠢愚
「『闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え』」
里桜高校の屋上から、真人が帳を降ろす。
「おー、できたできた」
「悪いね、真人。私の残穢を残すわけにはいかないから。『帳』の効果は?」
夏油が真人に聞く。
「内からは出られない。外からは入れる。あくまで呪力の弱い人間はだけど」
「住宅地での事前告知のない『帳』。すぐに『窓』が通報するだろう。君の考えてる絵図が描けるといいね」
「大丈夫じゃないかな。順平が宿儺の器を引き当てた時点で、流れはできてるんだ。2人をぶつけて、虎杖悠仁に宿儺優位の『縛り』を科す」
「漏瑚も君くらい冷静だと助かるんだけどな」
「アレはアレで素直でカワイイじゃない。それより良かったの?あの指、貴重な呪物なんだろ?」
「いいんだ。少年院の指は、すぐに虎杖悠仁が取り込んでしまったからね。吉野順平の家に仕掛けた方は、高専に回収させたい」
「悪巧み?」
「まぁね。それじゃ、私はお暇させてもらうよ」
「夏油も見てけばいいのに。きっと楽しいよ。愚かな子供が死ぬ所は」
真人はニヤリと笑った。
体育館では、伊藤と外村以外の生徒と教師が気絶していた。
「おい!!どうしたお前ら!!しっかりしろ!!大丈夫か!?」
外村は近くにいた生徒を揺らすが、起きない。
「死にはしないよ」
「吉野…。なんで…、いや…。知っているのか?何が起こっているか…」
「先生、ちゃんと見ててね。これまでのことも、これからのことも」
順平はそう言うと、髪に隠れていた右側を見せる。そこには、根性焼きの跡が沢山あった。
「お前、その傷!!それ…!!」
「吉野…」
「聞きたいことがある。アレを家に置いたのお前か?」
伊藤を睨みつけながら、順平は言う。
「何の話ー」
ドチュ、と伊藤の左腕に何か刺さる。毒がみるみる顔まで上がってくる。悲鳴をあげる伊藤の頬を、順平は殴る。
「お前は死ぬんだよ。質問の答えがイエスでもノーでも。だって僕にお前の嘘を見抜く術はないし、そうされるだけのことをお前はしてきたからね」
転がった伊藤を蹴り続ける。
「最後くらい誠意を見せてくれ」
伊藤の胸ぐらを掴み、澱月の触手で持ち上げる。
「ごめ"んなっざい」
「で?だから?」
バン、と体育館の扉が開く。
「何してんだよ!!順平!!」
虎杖が叫んだ。