第17章 固陋蠢愚
物音がしたので、気になった順平は1階に降りる。そこには、腰から下がない凪が床に倒れていて、傍らには呪霊がいた。
「か、母さん…」
目の前の出来事が信じられなかった。呪霊が順平に攻撃してくが、突然現れた真人に祓われた。真人はテーブルの上に置かれている宿儺の指を取ると、順平に見えない様に笑った。
「これは、呪いを呼び寄せる呪物なんだ」
「なんでっ、そんなものが家に…!!」
順平を落ち着かせる為に、順平の部屋まで移動してベッドに座る。
「人を呪うことで金を稼いでいる呪詛師は多い。そういう連中の仕業だろう。コネと金さえあれば人なんて、簡単に呪い殺せるんだよ。心当たりはないかい?君や母親を恨んでいる人間、もしくは金と暇を持て余した薄暗い人間に」
心当たりがあった。あいつだ。順平は拳を握り締める。真人はすぐにいなくなった。凪の亡骸を見つめ泣いた後、凪の自室に連れていきベッドに寝かせた。あるだけの保冷剤と氷嚢を敷き詰めて、掛け布団をかけた。
朝になり、黒い服を持っていなかったので、凪のクローゼットを開けて、はじめに目についたものを羽織った。そして、順平は学校へと歩いて行く。
数分後、順平の自宅に入ったロロと虎杖。
「伊地知さんに連絡する」
ロロはそう言うと、伊地知に電話した。虎杖は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「伊地知さんが言うには、もしかしたら順平は学校にいる可能性が高いかもって」
それを聞いた虎杖は、走り出した。
「ちょっ、悠仁!」
ロロは慌てて虎杖の後を追うが、虎杖の足が速すぎてもう見えなくなった。
里桜高校の体育館では、朝礼をしていた。
「表彰状。全国読書感想文コンクール最優秀作品賞、伊藤翔太」
「いやぁ、照れますね」
伊藤が壇上に上がると、黄色い声が上がる。軽く手を振ると、また女子達が喜ぶ。壇上の端に移動した伊藤は、先に賞状を貰っている男子生徒に小声で喋る。
「おーい、何してくれてんの。適当に書けっつったろ。最優秀賞なんかとらせやがって、死ぬか?」
「ご、ごめん」
「で、お前は入選止まり」
フッと伊藤は笑う。
「やっぱりカッコイイわぁ、翔太先輩」
「そう?まぁ、ボンボンなのは評価する」
窓の外には黒い影が広がっていた。