第16章 幼魚と逆罰
「そんじゃ、行こうぜー」
「え、はや!!もう1周してきたの!?…わざわざあんなことしなくても、僕だけ引っ張っていけば良かったんじゃ…」
「んーまぁ、でもお前、アイツ嫌いだろ」
「なんで…」
「なんとなく。あっ、違った!?」
「違くないけど」
「嫌いな奴にいつまでも家の前いてほしくねーだろ。とりあえず、アッチ」
「…うん」
ロロ達は河川敷に来た。蝿頭は虎杖のズボンのポケットで大人しくしている。虎杖が伊地知に電話するが出ない。その頃、伊地知はもう1匹の蝿頭を追いかけていた。
「なぁ、鬼住。これって馬鹿正直に聞いていいもんなのか?高専のことってどこまで言っていいんだっけ?」
「まぁ、ギリ呪術規定には違反してないから、聞いていいと思うよ」
「よし!なぁ、この前お前が行った映画館で人が死んでんだ。なんか見なかった?こういうキモイのとか」
ズボンのポケットから蝿頭を出して、順平に見せる。真人が脳裏に浮かんだが、見てないと答えた。
「そういうのハッキリ見える様になったの、最近なんだ」
「そっかぁ…。じゃあもう聞くことねぇや!!」
順平の隣に虎杖が座る。ロロも虎杖の隣に座った。
「でも一応俺の上司(?)みてぇな人が来るまで、待ってくんない?」
「いいけど…」
「なぁ、映画館で何観てたの?」
「昔のリバイバル上映だから、言っても分かんないよ」
「いーから!いーから!」
「『ミミズ人間3』」
知らない映画なのでロロは首を傾げる。虎杖は知っていたみたいで、熱弁に語っていた。意気投合した虎杖と順平は話が盛り上がる。暇なロロは鬼のお面を弄っていた。ロロ達は知らない。橋の上から夏油がロロ達を見ていたことを。
「虎杖君、映画館好きなの?」
「ちょい事情があってさ。ここ最近は映画三昧。でもちゃんと映画館でってわけじゃねぇんだよな」
「えー、やっぱり映画館で面白い作品引いた時の感動はデカいよ」
「最後に行ったのいつだっけ…。今度、オススメあったら連れてってよ。あ、連絡先?ほい」
虎杖はスマホを順平に差し出した。その時。
「アレ?順平」
振り返ると、買い物帰りの順平の母親、吉野凪が立っていた。