第16章 幼魚と逆罰
「①呪いを視認できない一般人の場合、鬼住さんと虎杖君が救助して下さい。②視認できるが対処する術を持たない場合、同様に鬼住さんと虎杖君が救助、事件当日の聴取をします。③呪術で蝿頭を祓った場合、即時拘束します」
「力尽く?」
「力尽くです。誤認ならそれでいい。後で謝りましょう。ただ、④2級術師以上のポテンシャルが吉野順平にあった場合、一度退いて七海さんと合流します」
「2級ならギリなんとかなると思うけどなぁ」
「呪霊ならね。いい悠仁。以前、恵が言ってたよね。通常、呪霊と同等級の術師が任務に当たるって。つまり、2級術師は2級呪霊に勝つのが当たり前。2級術師は1級呪霊に近い実力というわけ」
ロロが説明する。五条が適当だから、このことを虎杖は知らなかったみたいだ。ここからは車を降りて、順平の後を追うことにした。
順平は家の前に担任の外村がいることに驚き後ずさる。
「聞いたか?佐山、西村、本田亡くなったって。お前、仲良かったよなぁ」
「は?」
「友達もいないお前を、よくかまってやってたろ。それなのに葬式にも出ないで…。一緒に行ってやるから、線香だけでも上げに行こう」
仲良し?あいつらと?どいつもこいつも正気じゃない。ブツブツと呟いていたら。
『俺は、順平の全てを肯定するよ』
真人が言った言葉を思い出した順平は、式神の澱月を出そうとしたが。
「ストォーップ!!」
虎杖が1体の蝿頭を捕まえて、飛び出してきた。作戦は失敗した。順平は虎杖ではなく、蝿頭を見ていた。それに気づいた虎杖は、体勢を立て直すと話かける。
「なぁ、ちょっと聞きたいことあっからさ、面かして」
後ろからロロも出てきて、順平のことを見る。目が合って目を逸らした先に、高専のボタンを見つけた。真人が言っていた。渦巻きのボタンをしている学生に会ったら、仲良くするといいと。彼らは呪術師なんだ、きっと気が合うよと。でも、呪術師は真人の敵なのに、仲良くしていいのだろうか。
「待て、今俺が話してるだろ!!」
「あーいや、かなり大事な用でして」
「大事な用!?子供が何言ってるんだ!!大体、どこの制ふくっ」
子供という言葉にカチンときた虎杖は、外村のズボンを下ろして走り出した。その後を外村が追いかけるが、もう虎杖はいなかった。