第16章 幼魚と逆罰
「どっちもさ、俺にとっては同じ重さの他人の死だ。それでもこれは、趣味が悪すぎだろ」
「あの残穢自体ブラクで、私達は誘い込まれたのでしょう。相当なヤリ手です。これはそこそこでは済みそうにない。気張っていきましょう」
「うん!」
「応!!」
部屋を移動し、伊地知がホワイトボードに地図をはる。
「ここ最近の失踪者、変死者、『窓』による残穢の報告をまとめました。これである程度、犯人のアジトが絞られます」
「おっし!!乗り込むか!!」
「いえ、まだまだ『ある程度』です。私は調査を続けますので、鬼住さんと虎杖君には別の仕事を。映画館にいた少年、吉野順平。彼は被害者と同じ高校の同級生だそうです。映画館の監視カメラはスクリーンに続く通路のみでしたが、佇まいからして、彼が呪詛師である可能性は低いと考えました。ただ被害者と関係があるとなれば、話は別です」
「ジュソシ?」
「悪質な呪術師のことだよ」
ロロが教えると、へぇー、と虎杖が頷く。
「手順は伊地知君に任せてあるので、3人で吉野順平の調査をお願いします」
話し合いが終わり、部屋を出ようとした時に伊地知が七海に話かける。
「ある程度ではなく、もう分かっているんですよね?犯人の居場所」
ロロは七海の方を見る。
「勿論。犯人はその気になれば残穢なんて残さずに、現場を立ち去れるハズです。私達はまた誘い込まれています。単身乗り込むリスクと、鬼住さんと虎杖君を連れていくリスク。前者を選んだまでです。彼らはまだ、子供ですから」
「七海さん、気をつけて下さいね」
単身で乗り込む七海を心配して、ロロが声をかける。先に部屋を出ていた虎杖が帰ってきた。
「七海先生ー!!言い忘れてた。気をつけてね」
「虎杖君、私は教職ではないので先生はやめて下さい」
「じゃあ…ナナミン…」
「ひっぱたきますよ?」
「ナナミンって…」
ロロは鬼のお面を顔にかざして、笑いを堪えた。