第4章 懐玉
「あはははは!帳を降ろさなかった悟が悪いよ」
ロロ達は2年生に進級した。ロロの実力を知った総監部は、ロロ1人でも任務ができるだろうということで、五条達と別行動をさせることが多くなった。任務から帰って来たロロは、五条の頭にできたたんこぶを見て、お腹を抱えて笑う。
「そもそもさぁ、帳ってそこまで必要?別に一般人に見られたってよくねぇ?呪霊も呪術も見えねぇんだし」
「駄目に決まってるだろ。呪霊の発生を抑制するのは、何より人々の心の平穏だ。そのためにも、目に見えない脅威は極力秘匿しなければならないのさ」
「弱い奴等に気を遣うのは、疲れるよホント」
五条が言った言葉に、ロロもうんうんと頷く。夏油は苦笑いする。
「『弱者生存』それがあるべき社会の姿さ。弱きを助け強きを挫く。いいかい、ロロ、悟。呪術は非術師を守るためにある」
「それ正論?俺、正論嫌いなんだよね」
「…何?」
「呪術に理由とか責任を乗っけんのはさ、それこそ弱者がやることだろ。ポジショントークで気持ち良くなってんじゃねーよ。オ"ッエー」
ロロはため息をついてお面を触る。家入は教室から逃げてしまった。
「外で話そうか、悟」
「寂しんぼか?1人で行けよ」
「兄者、今日も平和だよ」
ガラッ
教室の扉が開いて、夜蛾が入って来た。天元からの任務をロロ、五条、夏油の3人で行うことになった。
「依頼は2つ。『星漿体』天元様との適合者、その少女の護衛と抹消だ」
「少女の護衛と抹消ォ?」
「そうだ」
「ついにボケたか」
「春だしね。次期学長ってんで、浮かれてるのさ」
五条と夏油がヒソヒソと話す。ロロは口元をお面で隠して笑う。
「冗談はさておき。天元様の術式の初期化ですか?」
「何ソレ?」
ロロと五条がハモる。ロロが知らないのはいいとして、五条が何故知らないのかという空気になった。
「天元様は『不死』の術式を持っているが、『不老』ではない。ただ老いる分には問題ないが、一定以上の老化を終えると、術式が肉体を創り変えようとする。『進化』。人でなくなり、より高次の存在と成る」
天元曰く、その段階の存在には『意志』というものがないらしく、自分が自分でなくなるそうだ。