第16章 幼魚と逆罰
一月後。記録、2018年9月。神奈川県川崎市、キネマシネマ。上映終了後、男子高校生3名の変死体を従業員が発見。死因、頭部変形による脳圧上昇、呼吸麻痺であった。
「今回僕は引率できなくてね。でも安心して信用できる後輩を呼んだから。脱サラ呪術師の七海君でーす」
「その言い方やめてください」
元気そうでなによりだ。久しぶりに会う七海建人にロロは安心する。
「呪術師って変な奴多いけど、コイツは会社勤めてただけあってしっかりしてんだよね」
「他の方もアナタには言われたくないでしょうね」
「脱サラ…。なんで初めから呪術師になんなかったんスか?」
「まずは挨拶でしょう。はじめまして、鬼住さん、虎杖君」
はじめまして、がなんとも寂しい響きだ。仕方ない。五条以外は皆、ロロの事を忘れているのだから。
「私が高専で学び気づいたことは、呪術師はクソということです。そして、一般企業で働き気づいたことは、労働はクソということです」
「そうなの?」
「同じクソならより適性のある方を、出戻った理由なんてそんなもんです」
暗いねー、と五条と虎杖がコソッと言う。ロロは苦笑いした。
「鬼住さん、虎杖君、私と五条さんが同じ考えとは思わないでください。私はこの人を信用しているし、信頼している。でも、尊敬はしてません」
「あ"あ"ん?」
「上のやり口は嫌いですが、私はあくまで規定側です。話が長くなりましたね」
そう言うと、七海は虎杖を見る。
「要するに、私もアナタを術師として認めていない。宿儺という爆弾を抱えていても、己は有用であるとそう示すことに尽力して下さい」
「…俺が弱くて使えないことなんて、ここ最近嫌という程思い知らされてる。でも俺は強くなるよ。強くなきゃ死に方さえ、選べねぇからな。言われなくても認めさせてやっからさ。もうちょい待っててよ」
「いえ、私でなく上に言って下さい。私はぶっちゃけどうでもいい」
「あ、ハイ…」
話も終わったところで、ロロ達は現場に向かうことになった。もう警察がいて、七海が何か言ってすんなり中に入ることができた。
「見えますか?これが呪力の残穢です」
ロロは当然見えるが、虎杖はまだ見えない。