第15章 退屈
「真依、どうでもいい話を広げるな。俺はただコイツらが乙骨の代わり足りうるのかそれが知りたい。伏黒…と言ったか、どんな女がタイプだ」
伏黒と釘崎は疑問符を浮かべる。
「返答次第では今ココで半殺しにして、乙骨…最低でも3年は交流会に引っ張り出す。因みに俺は、タッパと尻がデカイ女がタイプです」
「なんで初対面のアンタと女の趣味を話さないといけないんですか」
「そうよ。ムッツリにはハードル高いわよ」
「オマエは黙ってろ。ただでさえ意味わかんねー状況が、余計ややこしくなる」
「京都3年、東堂葵。自己紹介終わり。これでお友達だな。早く答えろ。男でもいいぞ。性癖にはソイツの全てが反映される。女の趣味がつまらん奴はソイツ自身もつまらん。俺はつまらん男が大嫌いだ。交流会は血沸き肉踊る俺の魂の独壇場。最後の交流会で退屈なんてさせられたら、何しでかすか分からんからな。俺なりの優しさだ。今なら半殺しで済む。答えろ、伏黒。どんな女がタイプだ」
高専は4年制だが、交流会は3年までである。ふと、伏黒の脳内に津美紀が浮かぶ。
「別に好みとかありませんよ。その人に揺るがない人間性があれば、それ以上は何も求めません」
「悪くない答えね。巨乳好きとかぬかしたら私が殺してたわ」
「うるせぇ」
「やっぱりだ。退屈だよ、伏黒」
殺気を感じた伏黒は術式を出そうとするが、東堂の方が動きが早く、吹き飛ばされてしまう。
「伏黒!!」
「あーあ、伏黒君かわいそっ」
真依は釘崎に抱きつく。
「2級術師として入学した天才も、1級の東堂先輩相手じゃただの1年生だもん。後で慰めてあげよーっと」
「似てるって思ったけど全然だわ。真希さんの方が百倍美人。寝不足か?毛穴開いてんぞ」
「口の利き方、教えてあげる」
真依は術式で拳銃を出すと釘崎に押し当てた。
外に吹っ飛ばされた伏黒。東堂もその後を追う。
「一目見た時から分かってた。あぁ、コイツは退屈だと。でも人を見た目だけで判断しちゃあいけないよな。だからわざわざ質問したのに、オマエは俺の優しさを踏みにじったんだ。もしかして、頭の中身までパイナップルなのか?」
伏黒は思い出した。去年起きた呪詛師夏油による、未曾有の呪術テロ『新宿、京都、百鬼夜行』。京都の夜行に現れた1級呪霊5体、特級呪霊1体を1人で祓ったっていうのが、目の前にいる東堂である。
