第14章 急襲
「じゃ、僕は用事があるので。その調子で頑張ってね。ロロ、あとよろしく」
ロロは軽く手を振る。数分で虎杖はボロボロになっていた。
「そうだ。死んでる時、宿儺と話したかい?」
「話…」
「心臓を治すにあたって、条件とか契約を持ちかけられなかった?」
「あー…、なんか話した気するけど、思い出せねぇんだよな」
「…そうか」
今度こそ、五条は部屋を出た。伊地知が運転する車に乗り移動する。
「学長との約束までまだ少しありますけど、どこか寄ります?」
「いいよ。たまには先に着いててあげよう。…止めて」
何かの気配を感じた五条はそう言う。伊地知に先に行くよう伝えて、五条はポツンと1人になった。すると、空から漏瑚が降ってきた。先手必勝の如く、漏瑚が攻撃を仕掛けた。
「存外、大したことなかったな」
「誰が大したことないって?」
「小童め」
「特級はさ、特別だから特級なわけ。こうも、ホイホイ出てこられると調子狂っちゃうよ」
「矜持が傷ついたか?」
「いや、楽しくなってきた」
「楽しくなってきた…か。危機感の欠如」
漏瑚はポンポンと、頭頂部から火礫蟲を何匹か出してきた。それを五条に飛ばすが、五条の術式で届かない。火礫蟲が叫びだし、爆発した。立て続けに漏瑚が攻撃を仕掛ける。
「…こんなものか。蓋を開けてみれば、弱者による過大評価。今の人間はやはり紛い物。真実に生きておらん。万事醜悪。反吐が出る。本物の強さ真実は、死をもって広めるとしよう」
そう言って、漏瑚が踵を返すと。
「この件、さっきやったよね。学習しろよ」
「どういうことだ」
「んー、簡単に言うと、当たってない」
「馬鹿な。さっきとはワケが違う。儂は確かに触れて殺した」
「君が触れたのは、僕との間にあった『無限』だよ」
「?」
「教えてあげる。手、出して」
殺意はない。漏瑚は手を伸ばして、五条の手に触れようとするが、寸前で触れられなかった。
「止まってるっていうか僕に近づく程、遅くなってんの。で、どうする?僕はこのまま、握手してもいいんだけど」
五条は漏瑚の手にピタッと合わせた。
「…断る」
「照れるなよ。こっちまで恥ずかしくなる」
指を絡めると、五条は漏瑚の腹に何度も打撃を打ち込んだ。術式反転『赫』も発動し、漏瑚は反撃できない。