第9章 呪胎戴天
「少し待て。今、考えている」
特級の肩をポンポンと叩くと、宿儺は思考を巡らせる。伏黒を追った所で、直前に虎杖に代わられるのがオチ。となると、ロロ達が一番困るのは、ふりだしに戻ることだ。宿儺はニヤリと笑う。
「おい、ガキ共を殺しに行くぞ。付いて来い」
右手を治した宿儺は歩き出す。特級は宿儺の言う事を聞かずに、両手に込めた呪力を放つ。
「馬鹿が」
左手も治して攻撃を受け止める。傷1つ付いていない宿儺を見て、特級は驚愕する。
「あ、こっちも治してしまった。散歩は嫌か。まぁ元来、呪霊は生まれた場に留まるモノだしな。良い良い。ここで死ね」
宿儺からの攻撃をくらい、特級が後頭部から倒れ込む。
「ほら、頑張れ頑張れ」
宿儺は特級の顔面を踏みつける。すると、橋にヒビが入りゴガァッと壊れて宿儺と特級が下に落ちて行く。特級は宿儺の左足を掴んで投げようとしたが、その腕がなかった。
「呪霊といえど、腕は惜しいか?ケヒッ、ケヒッ、ヒヒッ」
ゲラゲラゲラゲラと宿儺は笑う。
「我々は共に『特級』という等級に分類されるそうだ。俺と…、虫がだぞ?」
手足が切られて、壁にめり込んでいる特級に宿儺は言う。特級は手足を再生して、ドヤ顔をする。
「嬉しそうだな。褒めてやろうか?だが、呪力による治癒は人間と違い、呪霊にとってそう難しいことではないぞ。お前もこの小僧も呪いのなんたるかを、まるで分かっていないな。いい機会だ。教えてやる。本物の呪術というものを。領域展開『伏魔御厨子』」
特級は輪切りに切られてしまった。
「3枚におろしたつもりだったんだが、やはり弱いなお前。そうそうそれから、これは貰っていくぞ」
宿儺は特級の胸の穴に指を突っ込むと、何かを取り出した。なんとそれは宿儺の指だった。
「終わったぞ!!不愉快だ!!代わるのならさっさと代われ!!…小僧?」
いつまで待っても虎杖に代わらない。宿儺は悪い顔をして笑った。
特級が死んだことにより、生得領域が閉じた。あとは虎杖が戻るだけだ。ロロと伏黒は建物の方を見る。
「ヤツなら戻らんぞ」
宿儺が現れてそう言う。
「そう脅えるな。今は機嫌がいい。少し話そう。何の縛りもなく、俺を利用したツケだな。俺と代わるのに少々手こずっている様だ」
初めて見る宿儺にロロはときめいた。