第8章 鉄骨娘
「あー、それから宿儺は出しちゃ駄目だよ。アレを使えばその辺の呪いなんて瞬殺だけど、近くの人間も巻き込まれる」
虎杖と釘崎は廃ビルの中に入っていった。
「やっぱ俺も行きますよ」
「無理しないの。病み上がりなんだから」
「でも虎杖は要監視でしょ」
「まぁね。でも、今回試されてるのは野薔薇の方だよ」
ロロは2人が入って行った廃ビルを見つめた。
「悠仁はさ、イカレてんだよね。異形とはいえ生き物の形をした呪いを、自分を殺そうとしてくる呪いを、一切の躊躇なく殺りに行く。君みたいに昔から呪いに触れてきたわけじゃない。普通の高校生活を送っていた男の子がだ。才能があってもこの嫌悪と恐怖に打ち勝てず、挫折した呪術師を恵も見たことあるでしょ。今日は、彼女のイカレっぷりを確かめたいのさ」
「でも、釘崎は経験者ですよね。今更なんじゃないですか?」
「呪いは人の心から生まれる。人口に比例して呪いも多く強くなるでしょ。地方と東京じゃ、呪いのレベルが違う。レベルと言っても、単純な呪力の総量の話だけじゃない。『狡猾さ』知恵をつけた獣は時に、残酷な天秤を突きつけてくる。命の重さをかけた天秤をね」
「わぁ、悟がちゃんと先生してる」
ロロはパチパチと拍手をする。
「気になってたんですけど、なんで五条先生のお面を鬼住が持ってるんですか?」
「なんでって、コレ僕のじゃないもん」
「は?」
お風呂の時も肌身離さず持ち歩いていたシーサーのお面を、自分の物じゃないといった。伏黒はロロを見る。
「私が悟に預けてたの。大事な物だから、悟なら大丈夫だろうって」
ロロはシーサーのお面をギュッと抱きしめた。
廃ビルからズルンと呪霊が出てきて、釘崎の術式で呪霊は祓われた。
「いいね。ちゃんとイカレてた」
廃ビルから出てきた虎杖と釘崎。遊びで忍び込んだのか、側には子供がいた。
「お疲れサマンサー!!子供は送り届けたよー。今度こそ飯行こうか」
「ビフテキ!!」
「シースー!!」
「私もシースー!」
ロロ達は食事を何にするか話をしながら歩き出した。
記録ー、2018年7月。西東京市、英集少年院。運動場上空。特級仮想怨霊(名称未定)。その呪胎を非術師数名の目視で確認。緊急事態の為、高専1年生4名が派遣され、内1名、死亡。