第4章 懐玉
「お願いっていうのは、このお面を捨てないで持っててほしいんだよね」
首から下げているシーサーのお面に触れる。
「私の村、色んな種族から狙われてるんだよね。鬼の角を煎じて飲めば、不老不死の効果があるって言われててさ。まったく迷惑な話だよね。その迷信のせいで私の一族、絶滅の危機なのよ」
五条はポカンとする。
「もしかして兄者との会話、中2病だなって思ってたりした?」
「あぁ」
「まぁ、はたから見たらそうなるよね。紹介が遅くなったけど、私の双子の兄の惣闇です」
ロロはシーサーのお面をペコリとさせた。
「で、話の続きなんだけど」
「待て。仮にロロの話が本当だとして、何で俺に話たんだ?」
「さっきも言ったように、生意気な眼を持つ悟が適任だって、兄者も言ってたの。察しのいい悟ならもう分かると思うけど、このお面を座標にするの」
「…並行世界か」
「そう。ちゃんとあるんだよ。パラレルワールドは。違う世界軸に行かないために、このお面を悟に預けるね」
「いつ帰ってくるんだ?」
「わからない」
沈黙が流れる。
「悟、私のこと忘れないでね」
ロロはシーサーのお面をつけると消えてしまった。地面にシーサーのお面が落ちる。
「なんでこんなところにいるんだ?俺?」
ここに来た時の記憶がない。ふと、地面を見ると見慣れないシーサーのお面が落ちていた。それを拾い上げると、何かを思い出す。
『悟、私のこと忘れないでね』
悲しそうに笑うロロを思い出した。
「そーゆうことかよ」
夏油や家入にロロのことを聞くと、そんな子知らないと言われた。ロロは消えたのだ。五条を除いた皆の記憶から。