第4章 懐玉
道中、武器庫呪霊がいて夏油はそれを取り込んだ。
本部の受付に行くと、あっさりと地下へと案内された。そこには集団がいて、拍手が鳴り響いていた。五条は天内の遺体を抱きかかえて立っていた。
「悟…、だよな?」
一皮剥けた五条に夏油は戸惑う。今の五条はロロよりも強くなる。あぁ、なんて人間は面白い生き物なのか。ロロはニヤケ顔がバレない様に、シーサーのお面で顔を隠す。
「…戻ろう」
「傑、コイツら殺すか?今の俺なら、多分何も感じない」
「いい。意味がない。見た所、ここには一般教徒しかいない。呪術界を知る主犯の人間はもう逃げた後だろう。懸賞金と違ってもうこの状況は言い逃れできない。元々問題のあった団体だ。じき、解体される」
「意味ね。それ、本当に必要か?」
「大事なことだ。特に術師にはな」
1年後。2007年、8月。
高専のグラウンドの片隅に夏油と家入がいた。ロロは単独任務で居ない。
「いっくよー」
夏油の手には消しゴムが、家入の手にはペンが握られていた。それを五条へと投げる。ペンは五条の手前で止まったが、消しゴムが頭にあたる。
「うんいけるね」
「げ、何今の」
「術式対象の自動選択か?」
「そ。正確に言うと、術式対象は俺だけど。今までマニュアルでやってたのを、オートマにした。呪力の強弱だけじゃなく、質量、速度、形状からも物体の危険度を選別できる。毒物なんかも選別できればいいんだけど、それはまだ難しいかな。これなら最小限のリソースで、無下限呪術をほぼ出しっぱにできる」
「出しっぱなしなんて、脳が焼き切れるよ」
「自己補完の範疇で反転術式も回し続ける。いつでも、新鮮な脳をお届けだ。前からやってた掌印の省略は完璧。『赫』と『蒼』それぞれの複数同時発動もボチボチ。後の課題は領域と長距離の瞬間移動かな」
高専を起点に、障害物のないコースをあらかじめ引いておけば可能だという。
五条は『最強』に成った。任務もロロと同じく1人でこなすようになった。家入は元々、危険な任務をすることはない。必然的に夏油も1人になることが増えた。
その夏は忙しかった。昨年、頻発した災害の影響もあったのだろう。蛆のように呪霊が湧いた。