第4章 懐玉
「よぉ、久しぶり」
「…マジか」
「大マジ。元気ピンピンだよ」
「反転術式!!」
「正っ解っ。お前に喉ブチ抜かれた時、反撃は諦めて反転術式に全神経を注いだ。呪力は負の力。肉体の強化はできても再生することはできない。だから負の力同士を掛け合わせて、正の力を生む。それが反転術式。言うは易し。俺も今までできたことねーよ」
ハイになっているのか、五条はペラペラと話す。
「周りで唯一できる奴は、何言ってるかサッパリだしな。だが、死に際で掴んだ、呪力の核心!!お前の敗因は、俺を首チョンパしなかったことと、頭をブッ刺すのにあの呪具を使わなかったこと」
「…敗因?勝負はこれからだろ」
「あ"ー?そうか?そうだな、そーかもなあ!!」
武器庫呪霊から天逆鉾を出すと、甚爾は走り出す。五条に攻撃を仕掛けるが、当たらない。
反転術式によって、生まれた正の力。その力を自らに刻まれた、無下限の術式に流し込む。
「術式反転『赫』」
甚爾は何mも吹き飛ばされた。
「ハッ、化物が」
甚爾は立ち上がると、骨に異常がないか確かめる。異常は無し。
1、『止める力』ニュートラルな無下限呪術。
2、引き寄せる力。強化した無下限呪術『蒼』。
3、弾く力。術式反転『赫』。
1は、止める力は元より。
2は、引き寄せる力はリーチを得た今、天逆鉾で掻き消すか甚爾の足でちぎれる。
3は、弾く力はタイミングさえ外さなければ、天逆鉾を盾にしのげる。
全て問題なし。呪具の万里ノ鎖に天逆鉾を引っ掛けると、ブン回す。
違和感。
宙に浮いている五条を眺めながら、何かを感じた甚爾。
違和感。
「…いや、これでいい。殺す」
「天上天下唯我独尊」
代々伝わる相伝の術式のメリットは、あらかじめ先代の築いた術式の取説があること。デメリットは、術式の情報が漏れやすいこと。
甚爾が、御三家の禪院家の人間だと確信する。『蒼』も『赫』も無下限呪術のことは、よく知ってるわけだ。だが、コレは五条家の中でもごく一部の人間しか知らない。順天と反転。それぞれの無限を衝突させることで、生成される。仮想の質量を押し出す。