第4章 懐玉
お面をつけてない時のロロの身体能力は、中の下くらいになる。そんなロロが甚爾に勝てるわけがない。お腹にパンチをくらったロロは吹っ飛ぶ。
「なんだ?」
トドメをさそうと近づくと、割れたはずのお面が、ロロの前で浮いていた。ロロは気絶していて動かない。天逆鉾で攻撃するが、弾かれてしまう。バリアみたいなものが張られていて、攻撃が効かないみたいだ。
ロロのことは諦めて、甚爾は天内の後を追うことにした。
高専最下層、薨星宮参道に夏油達はいた。
「理子様、私はここまでです。理子様…、どうか…」
「黒井、大好きだよ。ずっと…!!これからもずっと!!」
「私も…!!大好きです…」
2人は抱き合って涙を流す。そんな2人を夏油が眺めていた。
「ここが…」
「あぁ。天元様の膝下。国内、主要結界の基底。薨星宮本殿」
夏油は指をさす。
「階段を降りたら、門をくぐってあの大樹の根元まで行くんだ。そこは、高専を囲う結界とは別の特別な結界の内側。招かれた者しか、入ることはできない。同化まで天元様が守ってくれる」
天内のことをチラリと見る。
「それか、引き返して黒井さんと一緒に家に帰ろう」
「…え?」
「担任からこの任務の話を聞かされた時、あの人は『同化』を『抹消』と言った。あれは、それだけ罪の意識を持てということだ。うちの担任は脳筋のくせに、よく回りくどいことをする。君と会う前に、ロロと悟との話し合いは済んでる」
天内と向き合う。
「私達は最強なんだ。理子ちゃんがどんな選択をしようと、君の未来は私達が保証する」
「…私は」
生まれた時から、皆とは違うと言われ続けてきた。天内にとっては星漿体が普通で、危ないことはなるべく避けて、この日のために生きてきた。両親が事故で亡くなった時は覚えてなく、悲しくも寂しくもなかった。だから、同化で皆と離れ離れになっても、大丈夫だと思っていた。どんなに辛くても、いつか悲しくも寂しくもなくなると。学校の友達や黒井、ロロ達と観光した沖縄を思い出す。
「もっと皆と…、一緒にいたい。もっと皆と色んな所に行って、色んな物を見て。…もっと!!」
「帰ろう、理子ちゃん」
「…うん!!」
タン
ほぼ同時だった。夏油の差し出された手も虚しく、天内は倒れた。